不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

こんな素晴らしいお父さんがいるんだから、不登校は直ります

2018-04-18 08:29:04 | 日記
不登校児のための進学説明会で、私は目当てのブースに座りました。

「ほとんど通わなくて済むって、このパンフレットには書いてありますけど……」
私は半信半疑でした。

「はい。ちゃんとクラスがあって、通ってくる生徒さんもたくさんいますけど、
ほとんど出席せずに家でレポートをやるお子さんもいらっしゃいます」

「ほとんどというのは、必ず出席しなければならない日もあるってことですよね?」

「はい。最低限のスクーリングと、テストも受けてもらわなければなりません」

「それにも行けなかった場合、どうなるんですか」

今の息子の様子では、行きたくても当日心が折れてドタキャンしかねません。
高校だけは卒業させたくて、もう私は必死でした。

「その場合は、別料金になりますが、教師がご家庭に訪問して授業を受けていただくこともできます」

地獄で仏とはこのことです。一通りの話を聞くと、私は何度もお礼を言いながら席を立ちました。
感じのいい先生は、丁寧に立ち上がって挨拶をしながらこう言いました。

「こんな素晴らしいお父さんがいらっしゃるんですから、不登校はきっと直りますよ」

私は思わず立ち止まりました。

ちょっと待ってください。ほんの二言三言話しただけで、素晴らしい父親って分かるんですか。
向き直って問いただしたいくらいでしたが、私はグッと我慢しました。

夫には生まれつき「人たらし」の才能があるようで、どんな人からも嫌われません。
そういうところは、息子のお金を盗んだユウト君に似ています。

夫は小中学校のPTA会長を歴任し、よその人からは非の打ちどころのない父親に見えるでしょう。
けれど私に言わせれば、家族には関心のない人です。

横暴な父親であるという意味ではなく、家庭内でも外と同じように人当たりはいいのですが、
我が子とも「波風を立てない」ことを重視して、踏み込まないのです。
子供に嫌われれば落ち込みますが、嫌われてさえいなければ子供が不登校でも、
友達にお金を取られてもあまり気にしません。

子供の問題を私が一人で抱え込んでいても、「大変だね、応援してるよ!」みたいな感じで、
自分の問題だとは思わないようです。

息子が何をしようと、後ろ指を差されるのは私で、夫は痛くもかゆくもないのです。
自分のいい人イメージは盤石だから、「妻が子育てに失敗して……」みたいな顔をしていれば、
悪口ひとつ言われない。

家事も育児も妻に丸投げな分、子供にかかるお金はきちんと責任を持ってくれるかと言えば、金遣いは荒く、
1本500円もする輸入ビールを毎晩何本も飲みます。

お金が足りなければ、私が母からもらったなけなしの遺産を取り崩すか、私がバイトでもすればいいと思っている。
夫は公務員なのでバイトもできないのです。
子供の将来が心配だったら、そんな無駄遣いはできないはずです。

その夫が、素晴らしいお父さんですって?