不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

義母の『いい人』イメージは鉄壁です

2018-09-17 08:39:35 | 日記
義母に怒鳴られ、悪口を言いふらされた時、私の脳裏に浮かんだのは義父のことでした。
義父も私と同じことをされたのだと……。

義父母は私たちが結婚したしばらくあとで別居生活を始めました。
義父が浮気をしたとかで、いがみ合った末に義父が家を出ていったと義母から聞かされました。

私はその話をうのみにしました。
疑う理由などありません。人当たりが良くてサービス精神旺盛な義母が、私は好きだったのです。

でも夫は
「あの親父が本当に浮気なんてしたのかな。行きつけのバーに通い詰めたとか、その程度じゃないの?」
と首をひねっていました。
どの程度の浮気だったのかは、外野の私たちには最後まで分かりませんでした。

はじめのうちは義父の悪口を言っていた義母でしたが、時が経つにつれ最初の勢いが失せ、
「やっぱり帰ってきてもらいたいよ……」
と繰り返すようになりました。

私は感激しました。

(あんなにひどいことをされて怒っていたのに帰ってきてほしいなんて、なんて優しいお義母さんだろう)

どんなにひどいことをされたかは、夫婦の間でしか分からないのに、義母の言葉を私は信じ切っていたのです。

やがて義父はガンにかかり、手術する病院を夫にだけ知らせてきました。
死の淵に立ちながらも、義母には居場所を教えるなと念を押したそうです。

私は驚いてこう言いました。
「意地になってるだけじゃないの?さすがに教えてあげなきゃダメでしょ」

結局、手術が済んでから、義父は自分の家に帰ってきました。見舞いに行った義母の説得に押し切られる形で……。

それから数年、義母は下にも置かないように義父を手厚く看病し、義父は最後には義母に感謝して逝きました。

(憎んだはずの夫にあんなに尽くして、なんていい人だろう)
と、私は改めて義母を尊敬しました。

でも、義父に対する義母の悪口の、どこまでが果たして本当だったのでしょうか。

葬儀のあとしばらくして義母はいまいましそうにこう言いました。
「あの人の残高を確かめたら、300万ちょっとしかなかったよ。うなるほど持ってたはずなのに」

義母が義父に最後に尽くしたのは、お金のためと、別居によって失墜した自分のイメージを挽回するためだった……。

私自身が悪口を言いふらされて初めて、すべてのピースが、ピタリとはまりました。

義母は義父にも私と同じことをしたのです。
私の時と同じように、些細なことでヒステリーを起こして追い出しておいて、
自分を正当化するために義父を実際以上に悪者に仕立て上げたのです。

『いい人』という自分のイメージを守り抜くために……。