「派閥が!?」
意外な話の展開に、私は思わず叫びました。
「そうなのよ。カドタさんは違う派遣会社だから」
私はいよいよキツネにつままれたような気分になりました。
派遣会社なんて、仕事さえ紹介してもらったらあとはあまり関係ないと思っていました。
たまに営業担当者が来ていて保険や何かの書類を書かされますが、それだけです。
サキサカさんのように職場を転々とする人は、行く先々で同じメンバーと出会ったりもするのでしょうが……。
「同じ派遣会社のシノヅカさんも顔の広い人だし、ほら」
ほら、って何だ。つまり私も派閥に入れということでしょうか。
「そうそう、サキサカさんから明日会おうってラインが来てたのよね……」
もう辞めた人まで引き合いに出して、自分の交友関係の広さを誇示してきます。
カドタさんと仲良くするなら、私も仲間はずれにすると暗に脅しているのです。
「今日の棚入れの時も、みんな2人組でやるのに、カドタさんったら自分から『私は一人でいいです』って。
協調性がないのね」
一人で棚入れできるなら、そのほうが効率がいいに決まっています。
ヨシカワさんは食事でも仕事でも、一人でするのが苦手なのでしょう。
それは個人の自由ですが、『単独行動イコール協調性がない』という決めつけはやめてほしいものです。
「用もないのに5階で食べるなんて、私たちを避けてるのかしら」
「まあ、それを言うなら私も一人で食べてますけどね」
なんだか自分のことまで悪く言われているような気がして、私は思わず言い返しました。
「そ、そうだったわよね……」
ヨシカワさんは(しまった)というような顔をしました。
「避けてるとかじゃなくて一人が好きなんですよ。そういう人もいるんです」
「そうよね、Nさんはそれでいいのよ」
あ、私はいいんだ?
実は、ヨシカワさんが『顔が広い』というシノヅカさんと、私は一度やり合っているのです。
その日は梱包する荷物が少なくて、私たちは補充作業に駆り出されていました。
意外な話の展開に、私は思わず叫びました。
「そうなのよ。カドタさんは違う派遣会社だから」
私はいよいよキツネにつままれたような気分になりました。
派遣会社なんて、仕事さえ紹介してもらったらあとはあまり関係ないと思っていました。
たまに営業担当者が来ていて保険や何かの書類を書かされますが、それだけです。
サキサカさんのように職場を転々とする人は、行く先々で同じメンバーと出会ったりもするのでしょうが……。
「同じ派遣会社のシノヅカさんも顔の広い人だし、ほら」
ほら、って何だ。つまり私も派閥に入れということでしょうか。
「そうそう、サキサカさんから明日会おうってラインが来てたのよね……」
もう辞めた人まで引き合いに出して、自分の交友関係の広さを誇示してきます。
カドタさんと仲良くするなら、私も仲間はずれにすると暗に脅しているのです。
「今日の棚入れの時も、みんな2人組でやるのに、カドタさんったら自分から『私は一人でいいです』って。
協調性がないのね」
一人で棚入れできるなら、そのほうが効率がいいに決まっています。
ヨシカワさんは食事でも仕事でも、一人でするのが苦手なのでしょう。
それは個人の自由ですが、『単独行動イコール協調性がない』という決めつけはやめてほしいものです。
「用もないのに5階で食べるなんて、私たちを避けてるのかしら」
「まあ、それを言うなら私も一人で食べてますけどね」
なんだか自分のことまで悪く言われているような気がして、私は思わず言い返しました。
「そ、そうだったわよね……」
ヨシカワさんは(しまった)というような顔をしました。
「避けてるとかじゃなくて一人が好きなんですよ。そういう人もいるんです」
「そうよね、Nさんはそれでいいのよ」
あ、私はいいんだ?
実は、ヨシカワさんが『顔が広い』というシノヅカさんと、私は一度やり合っているのです。
その日は梱包する荷物が少なくて、私たちは補充作業に駆り出されていました。