私がMさんから逃げ回っているのが彼の友達には面白くないようで、休憩などで会うと冷たい目で睨まれることもあります。
友達と言ってもみんなMさんより年上で、社員さんもいるし、そのうちの1人は補充部門の副統括という偉い人なのです。
オジサンたちにとっては若いMさんのいちずな恋愛が眩しく、思わず応援したくなるのかもしれません。
それだけの魅力がMさんにあるのも事実です。
または、きつく無味乾燥な倉庫での労働に疲れたオジサンたちの心に、初々しいMさんの恋バナが潤いを与えるのかもしれません。
どっちにしても私には迷惑な話です。
私としては、年下の男との浮いたうわさなどで、職場で悪目立ちするわけにはいかないのです。そもそも既婚だし。
追っかけられれば追っかけられるほど無関心を装わざるを得ません。
(なんで?私、あの男の愛を受け入れなきゃダメ?その結果私がどんな運命をたどるか考えたことあるの?
離婚でもしたら誰か責任取ってくれる?ただ面白がって彼をあおってるだけのくせに……)
私は集団から圧力をかけられることが大嫌いなのです。こういうところはヒキコモリの息子とそっくりです。
Mさんは黒シャツとはいえ派遣社員で何の権限もないので、私が何かというと2階の応援に呼ばれるのは、
彼を応援している連中の差し金ではないかと思われます。
正直言うと、応援はあまり好きではありません。
Mさんの顔を見られるのはうれしいけど……劇場型恋愛のMさんの派手なストーキングのせいで、
私は2階では有名らしく、周囲の視線が痛いのです。
そもそもブースにこもりきりで1人でできる梱包の仕事が、自閉的な私には向いているのです。
大勢の人とすれ違い、声を掛け合うピッキングや補充の仕事は、私にとって気疲れするものでした。
私のいら立ちは彼の友達に向かっていきました。
(大の大人が寄ってたかって職場で何やってんの?
そもそも私のこと何歳だと思ってる?
年齢はともかく結婚してることくらい、それだけの人脈があれば調べられるんじゃない?)
居心地の悪い日々が続きました。Mさんにとっては純愛でも、私にとっては浮気です。
私にとってこの恋は、苦しく後ろめたい恥ずかしい秘密でした。
結果的にMさんをだましたみたいな形になってしまっていることも、付き合えるはずもない若い男を
未練がましくつなぎ留めておくことも、その男をオカズに夜ごと激しい絶頂に達していることも……。
周囲には隠しておきたいけれど、彼にだけは私の気持ちを知ってほしいという気持ちはもちろんありました。
同時に、知られてはならない、知られたらどんどん踏み込まれてしまうという警戒心もありました。
その頃の私は少女のように恋する気持ちと、イカれたオバサンだと自分を冷めた目で見る気持の間を
行ったり来たりしていました。
彼があまりに魅力的で支配的なので、いざというとき自制できるという自信がこれっぽっちも持てないのです。
まるで魅惑的な男にどこまで近づけるかというチキンレース。
どハマりしたら負けなのに、恋の毒が全身に回ったようになって、どうしても逃れられずにいたのでした。
友達と言ってもみんなMさんより年上で、社員さんもいるし、そのうちの1人は補充部門の副統括という偉い人なのです。
オジサンたちにとっては若いMさんのいちずな恋愛が眩しく、思わず応援したくなるのかもしれません。
それだけの魅力がMさんにあるのも事実です。
または、きつく無味乾燥な倉庫での労働に疲れたオジサンたちの心に、初々しいMさんの恋バナが潤いを与えるのかもしれません。
どっちにしても私には迷惑な話です。
私としては、年下の男との浮いたうわさなどで、職場で悪目立ちするわけにはいかないのです。そもそも既婚だし。
追っかけられれば追っかけられるほど無関心を装わざるを得ません。
(なんで?私、あの男の愛を受け入れなきゃダメ?その結果私がどんな運命をたどるか考えたことあるの?
離婚でもしたら誰か責任取ってくれる?ただ面白がって彼をあおってるだけのくせに……)
私は集団から圧力をかけられることが大嫌いなのです。こういうところはヒキコモリの息子とそっくりです。
Mさんは黒シャツとはいえ派遣社員で何の権限もないので、私が何かというと2階の応援に呼ばれるのは、
彼を応援している連中の差し金ではないかと思われます。
正直言うと、応援はあまり好きではありません。
Mさんの顔を見られるのはうれしいけど……劇場型恋愛のMさんの派手なストーキングのせいで、
私は2階では有名らしく、周囲の視線が痛いのです。
そもそもブースにこもりきりで1人でできる梱包の仕事が、自閉的な私には向いているのです。
大勢の人とすれ違い、声を掛け合うピッキングや補充の仕事は、私にとって気疲れするものでした。
私のいら立ちは彼の友達に向かっていきました。
(大の大人が寄ってたかって職場で何やってんの?
そもそも私のこと何歳だと思ってる?
年齢はともかく結婚してることくらい、それだけの人脈があれば調べられるんじゃない?)
居心地の悪い日々が続きました。Mさんにとっては純愛でも、私にとっては浮気です。
私にとってこの恋は、苦しく後ろめたい恥ずかしい秘密でした。
結果的にMさんをだましたみたいな形になってしまっていることも、付き合えるはずもない若い男を
未練がましくつなぎ留めておくことも、その男をオカズに夜ごと激しい絶頂に達していることも……。
周囲には隠しておきたいけれど、彼にだけは私の気持ちを知ってほしいという気持ちはもちろんありました。
同時に、知られてはならない、知られたらどんどん踏み込まれてしまうという警戒心もありました。
その頃の私は少女のように恋する気持ちと、イカれたオバサンだと自分を冷めた目で見る気持の間を
行ったり来たりしていました。
彼があまりに魅力的で支配的なので、いざというとき自制できるという自信がこれっぽっちも持てないのです。
まるで魅惑的な男にどこまで近づけるかというチキンレース。
どハマりしたら負けなのに、恋の毒が全身に回ったようになって、どうしても逃れられずにいたのでした。