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街中に溢れる新品の紺スーツや
大きすぎるランドセルに目が慣れてきて
対するこちらは相も変わらず
月に一度のお菓子レッスン
今月は卵白が大量に使われるとか
足りないので持ってこられる人は自前で
と言われ、前日に「黄身の醤油漬け」をこしらえて
消毒した瓶に卵白を封じ込めて運ぶ
マドレーヌ、小さい頃母がたまに作ってくれていたお菓子
引っ越しして念願のガスオーブンを手に入れた母は
大喜びで最初はフルーツケーキを焼いていたのだが
材料を揃えるのが大変なので
冷凍パイシートを使ったアップルパイにスイッチし
細かく帯を切って編むなどが面倒くさくなって
マドレーヌに落ち着いた
かと思いきや「あ、やっぱりあんまりお菓子作るの好きじゃないや」
となって数十年、今に至る
今日作るのは弓田先生の渾身のレシピ
なんでもかつてフランスで厳寒の冬に
マドレーヌと同じ構成のお菓子
ガトーウイークエンドを焼いた時の美味しさに驚いて
そうか素材を冷やして作るのか、と気づいたそう
一方でヴィジタンディンヌは生地温度を高くしてから焼成に入る
名前の由来は、
「17世紀にナンシーの"L'ordre des Visitandines"(聖母訪問教会)の
修道女によって作られたことから」とのこと
アーモンドパウダーで作るフィナンシェの方が馴染み深いが
こちらは同じ作り方で使うのは贅沢にヘーゼルナッツパウダー
マドレーヌは真ん中がぷくっと膨らんで
十字の亀裂が入るとかっこいいんだけど
あんまりうまく膨らまず、理由もちょっとわからない
研究、研究
ヴィジタンディンヌは最終的にかなりの回数
混ぜることになるので、最初はあんまり泡だてないように
と説明を受けたはずなのにうっかりシャカシャカ
なんていうか、卵白を見たらメレンゲにしたくなる性(さが)
そして、自宅から瓶に入って運ばれたこいつは
既にかなり泡だっていたらしい
生地の色が白い、と言って先生が笑ってるんだけど
悪いと思うのか口元押さえててそれがまたなんかひどい
「後でちかさんのと私の一個交換してー」っていうのも
喜んだらダメなやつ
小さく焼くお菓子はオーブンに入れている時間も短くて
あっという間に試食タイム
レモンとラムの効いてるマドレーヌは
表面のサクサク感がなんとも美味しい
そういえばこのお菓子ほど振れ幅の大きなものは
ないんじゃないか
ふにゃんとかみっしりとかいろんなマドレーヌが
世の中に溢れてる
ヴィジタンディンヌはヘーゼルナッツの香りが
とても豊かで、一口でも満たされる美味しさ
上に乗せたクラクランの歯ざわりも楽しい
そして先月に続き試食タイムでは
いよいよ迫ってきた周年祭の話で盛り上がり
どころか
ねえトラシャンの次はなに作るのー
だとか
今度のお菓子コンテストは何をお題にしようかー
だとか
楽しむことに貪欲なミサリングファクトリーが
大好きだーー
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先生、ご一緒したみなさん、
楽しいレッスンありがとうございました
今年度もどうぞよろしくお願いします