まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

語りに語る男 珈琲文明ライブ

2018-09-29 00:59:09 | 日記
運転手さぁん、
代わりに見とくれや
じぶんじゃあよぅ見んのや
表の古い樫の木に
一本だけ、黄色いリボン
結わぃとってくれとるか


…えっと
今夜は第四金曜なはず
珈琲文明弾き語りライブなはず
いや、確かに、語ってはいるが
弾いてないやん


今年のテーマ
「見せましょう歌の力を」
これを思い付いたとき
頭にぱっと浮かんだ歌が
「幸せの黄色いリボン」で
今夜はいよいよそれを
披露するのだけど
英語の歌詞ゆえ最初に和訳を
みなさんにお伝えしようかな
そうだどうせなら落語風に話そう
っていう発想がもう
どうにもこうにもぶっとんでる
ちゃんとオチまでつけちゃってさ

そんな、多才で多彩な
赤澤マスターの
喋りときどき歌とギターのひととき
まるで映画を見るような
ストーリー性に富んだ歌を特集で

昔、古い映画を何本も
何時間もかけて観ていられる
ひなびた映画館があったけど
昼すぎに入ったはずなのに
出てきたらなんか薄い闇で
座りっぱなしの腰がだるーんとしてた
そんな記憶を呼び起こされた

さまざまな人が生きていくなかで
紡ぐさまざまな物語
リアルな体験でも妄想でも
それを表現するのに
「歌」を選ぶセンス

19年前にバンドのギタリストが
持ってきたあまりにも爽やかな曲に
どんな歌詞を乗せようか考えて
とりあえずはノート一冊に
ストーリー書いて
さあこれを映画化するとしたら
テーマソングはこんなかんじ、と
歌詞を書いた、というオリジナルを
聴かせてくれたんだけど

高校生んときに
昼休み教室のどまんなかで
全く話したこともない男の子に
次の土曜に映画行こ、と
誘われた次の瞬間に
ものすごくたくさんのことを
考えて
(なぜ私なんだろうどうして映画なんだろうそもそも隣でにやついてる友達むかつくんだけどしかも教室のなかみんな見てるしここで断ったらこの子泣いちゃうかもしんないしたぶん断る理由はないしでも話したことないからどんな子かわかんないし)
うん、いいよ、って答えてそのあと
なぜかいたたまれずトイレ行く振りして
教室出ていったときの気持ちになった

どうでもいいんだけどその男の子は
なんかすごく心の優しい子で
話し方もゆっくりしてて落ち着いてて
たぶん私のことは好いていてくれて
なのにどうして私はヘビメタ君だった
その子の長い髪と合成皮革にスパイクなファッションに気後れしちゃって
二度目のデートをしなかったんだろう

今日、文明さんで
赤澤さんの歌を聴いたひとは
それぞれこんなふうに
いろんなことを思いだして
懐かしがったり切なくなったり
したんじゃないかな

赤澤さん、楽しい夜を
ありがとうございました

お菓子教室お手伝い 鬼まんじゅう編

2018-09-24 01:00:27 | お菓子作り
進化ってわかる?
と、先生

すすむ、かわる、と
書くんだよ

そらに指を
走らせる小学生

昨日より
今日のほうが
出来ることが
増えていく
より、上手に
出来るようになる

お菓子教室での
一場面
今月のポイントは
包丁

来月はりんごだからね
と先生が言うと
数年通ってる子が
小さくため息つくように

りんごか…

そう、毎年10月は
未就学児から小6まで
キッズクラスのみなさんは
ひとしくりんごの皮むきをする
これがなかなかの難易度で
それに先駆けての
今月のメニュー

子供用の包丁は
真っ赤なスナップの
プラスチックカバーが
ついていて

包丁ビギナーは
そのスナップを
はずす力加減に
どぎまぎするところから

よく研がれた刃が
あらわれたら
そこからは
全神経を集中させて

握り方
使ってないときの
置場所と向き
硬いさつまいもの切り方
さらには一センチの
角切りの仕方
切ってるときの
おいもの位置
切り終わったら
シンクへ持っていくときの
持ち方
まわりのひとへの声かけ
洗い方、拭き方

ここまでのデモが
25分

そういえば
ミサリングはえぬきの
女の子が学生になって
ピザ屋のバイトで
狭いキッチンを移動するとき

「包丁通りまーす」とやって
びっくりされたとか
(大事なことだ)

さていよいよ
各自おいもに
向かい合う

非力な子供でも硬いものを
安全に切るには
包丁の背に
左手で軽く圧をかけつつ
右手で握った柄を
ゆらゆらと揺らしながら
降ろしていく

安定するのは
どんな向きか
効率的に角切りするには
何枚くらい
重ねたらいいか
邪魔にならないよう
切る前と切った後の
おいもをどこに置くべきか

考えてね、
と繰り返す先生
言われた通りやるんじゃなく
自分の頭で考えること
それがいつもどんなときも
大切なことだと
折に触れ何回も伝える

半月のさつまいもの
スライスがみんな同じ向きに
きれいに整列してる様子は
なかなかの眺め

角切りが終わったら
そこに黒糖と塩をまぶし
しばらく置くと水分が出る
そこへ薄力粉を入れて混ぜ
カップに分けて蒸す

材料が全部で300グラムだよ
それを6個に分けたら
いっこなんグラム?
と、先生が聞くと

わり算まだ習ってなーい
と小2ちゃん

学校で習うときに
わり算が何の役に立つか
先に知ってることは
深い理解につながるだろう

いくつもの鍋に
乗っかった蒸し器
時間差で鳴るタイマー
 
おいしそうな鬼まんじゅうの
完成



本当につくづく思うんだけど
首都圏の幼児小学生は
みんなここに来たらいいのに
計算ばっかバカみたいな枚数
タイム競うだけの塾にいくより
何百倍もいいのにな

2018ツールド東北 キムラさんのこと

2018-09-18 18:03:00 | 日記


北上川に架かる橋を超えるとき
大きな尖がった石を踏んだ

あ、しまった、と思う間も無く
後輪から異音がし始める

せめて明日の本番ではなかったことを
よしとしよう、と
気持ちを取り直し
一番近くの自転車屋を
グーグルさんに探してもらう

500メートルほど
チャリを引きずっていくと
白髪頭の大柄な男性が
店の前でニコニコしてる

サイクルショップ木村
洒落た車輪をあしらった看板
事務所兼作業スペースのある
小ぶりな建物の隣には
2階建ての大きな倉庫があり
自転車がびっしり並んでいる

変な話さ、ここまで来たんだよ、水、と
戸口の、胸のあたりに相当する位置を指す

カウンターの上にあったパソコンは水没
もっとひどいのは倉庫の1階部分
当時300台入っていた在庫が
全てダメになったという

この歳だしね、もうやめようかと、
一度は思ったんだけどねえ
笑顔絶やさず話す店主は続けて
今日は3台ママチャリ売れたんだよ、と
自慢げに告げる

え、そんなに売れるものなのですか?
と聞くと
そりゃさ、店によるわけよ、アッハッハ
イオンになんか、負けてられないからさあ

話の合間にタイヤチューブを交換してくれて
明日は雄勝のエイドにいるからさ、
声かけてよ、という
修理費三千円
明日なら安いのに、アッハッハ
と言いながら野口3枚受け取った

雄勝のエイドはスタートから四十キロの地点
エイドとしては二つ目になる
前の女川を後にして、すぐに
緩やかだけど容赦のない長い登り坂に
差し掛かる
最弱べダルで、キムラさん待っててね、と
念じながらどうにか到着

エンジニアのテントで
暇そうに座ってたキムラさんは
私が声をかけるとニコニコして
随分遅い到着だねーという
聞けば朝6時からここに詰めてるんだとか
気仙沼210キロコースの猛者が
ここに到着するのが早いと7時なんだそうだ

ほら、おにぎり配ってるよ
ホタテも食べてきな、と促され
テーブル見つけてひとしきり食べる
その脇に立ちながら
さっきは対向車に突っ込んだライダーが
一人運ばれていったよ、などと
事故情報をくれる

それを聞いた瞬間、2年前のことが蘇った

土砂降りの中、やっとの思いで雄勝に着いた私は
ほら、火のそばに寄りな、っていう
ホタテ焼きの皆さんの言葉に甘えて
濡れたジャージをホタテの煙で温めてた
そこにロケ中のタレントが声をかけてきて
えっ、あっ、よくわかりませんとか
間抜けな応対をした直後
白髪頭の大柄な男性が
今のさ、テレビに出てる人?と
話しかけてきたんだった

その時は
今日は雨だから路面濡れてて
むしろ注意するから晴れよりは事故が少ないけど
さっき一人車に突っ込んで運んで行ったんだよ
と事故情報をくれたんだった

そっか、キムラさん、会ってたんだなあ

朝早くからのボランティアは大変ですね、というと
今日は祝日でいつもならお店を開けてるところだから
もしかしたらママチャリ4台売れたかもなあと
笑っている

それを聞いて、あ、なんだかこの街には
普通の暮らしが戻ってきてるんだな
と感じた
そう言えば2年前に比べて
沿道に出て旗を振ってくれてる人が
格段に少ない
被害に遭った人たちが復興イベントに対して
興味が薄れてるというのは
良いことなのではないか

キムラさんが来年は
せめて午後くらいには店を開けて
普通の営業をしてくれるんだったら
そっちのが何倍も嬉しい
イオンに負けてらんないんだからね

バッハさんの楽譜

2018-09-02 19:49:44 | 日記
「誰か教えてくれないかしら」と
ママにメールもらってから
もう2週間経ってしまっており
いい加減どうにかせんと、と
お菓子レッスンの帰りに実家に寄ってみた

地元ではおハイソな混声合唱団に入り
毎週土曜日鬼のようなレッスンに打ち込んでいるママ
11月には定期演奏会があるそうで

メールではイマイチ何が不安なのか
わかんなかったんだけど
楽譜見ながら音源も聴きながら
色々説明を受けて
結果
「符割」が心配ということが判明
メリスマがね〜、とかいっぱしなことをいうママ

私にできることは
音源に合わせてママが歌ってるの聞いて
「そこ、違うよ」って言う事くらいだけど
それにしても私も一通り音読みしないとな、
という
今日のところは課題の洗い出しと対処法の確認
ってところで終了
ましてやママのパートはアルトで
ソプラノしか歌ってきませんでした、な私に
あまり過度な期待は禁物

でも来週日曜はママお出かけしちゃうらしいし
その次の日曜は私がお出かけしちゃうし

そしてたまにしか寄り付かなくなった娘に
ママは色々と言いたいことがあるらしく
音源聴いてる私の前に「これも読んで」と
自分史の原稿もポンと置く
出来れば楽譜見ながら聴きたいなあ、
そうは言っても初見だしなあ、
そんなにマルチタスクじゃないですが

今日はちょうどレッスンで
「実家の両親がコロリと行くオレオレ詐欺」の話も
してたところなので
そういうのも気をつけたほうがいいよなんて
ことも言いたかったんだけど
一方的に浴びて終了

もっとちょくちょく行かないとねえ

それにしてもバッハさん
なんでこれを2分の3にするんだろう
白丸をこの速度でやるんなら黒丸で良くないか?

とかいうとちゃんと勉強した皆さんに
違うよバッハさんてのはね、って言われちゃうかな
とにかくね、色々盛り込みすぎですよバッハさん
過ぎたるは及ばざるが、って知らない?

ママの楽譜は自分のパートに
綺麗に蛍光マーカーがしてあって
ページの上にはドイツ語歌詞の日本語訳が書いてあり
他のパートと頭を揃えるところに縦線があって
発音の注意がカタカナになってて
タイが強調されてたりして

この人は本当に真面目で勉強家で頑張る人なんだなと
思う
私はこの人の血を引いてるはずだよねえ

この際譜面手に入れてみようかな、と思うと
ちょっと歌うたいの心がワクワクする
秋の始まり

9月のフランス菓子研究所 杏のキャトルキャール

2018-09-02 19:19:47 | お菓子作り


九月のレッスンくらいまでは
暑さが残ってるのが
例年のような気がしますが

今日はなんだか
空気がひんやり

焼き菓子の季節に
なりました

杏のキャトルキャール

四分の一、の意味は
粉、砂糖、バター、卵が
それぞれ四分の一ずつ
入ってるから

英語のパウンドケーキと
おなじことですね

バターたっぷりのケーキは
まず、バターをよく練って
そこへ砂糖や卵を混ぜこんで
粉を混ぜて、というのが
よくある作り方ですが

キャトルキャールの作り方は
むしろスポンジケーキ寄り
ただ、油分があまりに多いので
すこーしずつ、絶え間なく、
泡立てた生地に混ぜつつ投入
しなければなりません
手が2本では足りないので
入れる人と混ぜる人の
二人一組で作ります

一人がオーブンに入れたら
次の人が作りはじめ
先に焼けた人はカットし
杏のマーマレードをはさんで
まわりに杏ジャムを塗り
乾いたらグラスかけて焼き

レッスンを受けてる四人がみんな
やってることがバラバラ
手の空いてる人は片付け洗い物
おてつだいなどなど

先行したわたしが後のひとに
塗るジャムあっためてハケつけて
渡したら、先生に笑われます
キッズのアシストでもつい、
手を出しすぎるんですよね
でも大人だもん、少しはいいよね

試食の時間は
働き方の話や
占いの話や
モヤモヤしてる人たちの話
結構深刻なことも話しながら
大笑いもしてるわたしたち

先生、みなさん、
楽しい日曜日を
ありがとうございました