駅で先生の車に拾ってもらい、走ること10分足らず。広々とした畑と細い川に囲まれた、大きな校舎が見えてきた。
駅までは徒歩だと20分。コミュニティバスも走ってはいるが、ほとんどの生徒は歩いて通学しているそう。
二階の多目的ホールに案内される。
まだ新しい机と椅子。机は台形や半月やそらまめみたいな形。
手洗いはついてはいるが、水は出ても排水がいまいち。
ホールの隣が控え室のようになっていて、そこに冷蔵庫や流しがある。
ホールの入り口付近ではブラスバンドが演奏したりするそうなので
ケーキ作りはホールの一番奥で行う。
机を5台並べ、そのうえにセッティング。今日はデモ含め6台を作る。
手慣れた先生の準備が完璧なので、ものの20分でスタンバイ。
おひるを食べながら、自分の高校時代のことなど話題に、窓の向こうに広がるのんびりした風景を眺める。
このあたりは白くて太いうどが銘産で、
小学生は社会科見学で「うど穴」を訪ねるのがお決まりなんだとか。
食べ終わるころにカフェの主宰、石井さんが現れる。
大きいひとだなぁ、というのが第一印象。さらに大きなギターケースをしょっている。スタッフからサンタ帽を渡され、被ってから、「俺、これ似合わないよ」と渋っている。
まあそういうのは似合うとかじゃなくて被る約束なのだ。
とか思ってたらなんとこちらにも回ってくる。
ええっ、これ、わたし被るのー?と思ったけど、
まあそういうものなのだから仕方ないので被る。
会場いちばん乗りは、元気な男の子と女の子。男の子は、よくお土産屋さんに吊るされている、レインボーカラーのうずまき柄のシャツを着ている。女の子の黒くて艶やかな長い髪には、スパンコールびっしりのリボン。
机の上のセッティングを見て
わぁ、いちご、食べたい、と大騒ぎ。
作らないと食べられないよ、と石井さん。
それから歌のリハをはじめる。今日はいろんな出し物があるらしい。
「歩いて帰ろう」「ラブリー」など、なんだかなつかしい歌も聞こえてくる。
ちびすけなムスメが夢中だったポンキッキーズ。あのウサギ、安室ちゃんだったんだよなぁ。
ふと、今の高校生がちっちゃいころに見てたテレビってなんだろうな、とおもったり。振り真似して踊ってた歌はなんだろう。
そこに、はにかんだ笑顔の女の子三人がやってきた。今日一緒にケーキ作りをしきる「ハンドメイキング部」の子たち。
ふだん、どんなものを作ってるの?と聞いたら、料理したりお菓子作ったり、と。
最近は文化祭でスコーンを焼いたそう。
「チョコがいちばん売れて、ごまが全然だめだった」んだって。
他にどんな味があったの?と聞いたら
「カレー」
えっ、カレースコーン?新しい、、とおもったら、なんか違う話だったらしい。
はじめましての大人に少し緊張したのかな。
気づけばホールには50人がところの高校生が、おやつを食べたり、ジュース飲んだり、カードゲームしてたり。
わぁわぁしてて大きな声じゃないと会話もできない。
石井さんがどこかから、マイクを調達してきてくれた。
ケーキ作りたいひとは奥のテーブル集合ー、と号令がかかると、
30人くらいが集まってきた。
まずはテーブル割り振りをしてから
みんなを集めて、先生のデモが始まる。
真剣な眼差しで見守る生徒たち。
いちごを並べるとき、サンドするまんなかには置かない、と説明しながら
「なんでかわかるひとー?」と先生が投げ掛けると
「切るとき邪魔だから?」と女の子。
ぴんぽーん。みんなで拍手。ちゃんと盛り上がってくれる。
スポンジをきちんと重ねて、上にクリームを絞るとこまでやってみせて
はい、あとは自由にどーぞー。
そしてなぜかところどころのテーブルに幼子が混じってる。
球技大会の手伝いに来てる母にくっついてきた妹ちゃんや、ボランティアさんの連れてきた子。
包丁の歯に不用意にさわろうとするのを、女の子が
「あっ、だめだめ、あぶない」ととめたり、
スポンジにシロップを打つのを男の子が優しくサポートしたり。
いちばん向こうの、メイクばっちりな女の子は椅子に座ってケーキ作り。
先生に聞いてはいたけど、ほんとにいるんだ、座ったまま製作。
デコレーションもそれぞれ個性的で、楽しく可愛らしい六台のクリスマスケーキ。
できあがったら適当にカットして分ける。
たくさんあるクリスマスのチョコプレートを、グループの人数分取ってきて、それぞれのお皿のケーキに飾る男の子。
あとから来る友達の分キープする女の子。
みんなおいしそうにあっというまに食べ尽くす。
テーブル拭くのを手伝ってくれて、ありがとうございました、と去る女の子。
ケーキを作るこどもの姿と
ケーキを食べるこどもの姿、
これ以上に可愛らしいものはないと
いつも思ってるんだけど
その愛らしさには
我らがミサリングファクトリーも
ここ、大和東高校も
一ミリの違いもない。
気づいてみたらそんなことは
とってもあたりまえのことだった。
なんだか安心した。
そのあとのYouTubeカラオケ大会で
ちびちゃんへのサービスに
アナ雪を派手な身振りで歌う子や、
切ない恋愛ソングを自分で選んで歌いながら、
「やばい、泣きそう」っていってる子や、
きっとこういうのが今の流行りなんだろうなと思われる、なんかよく聞き取れない低音のラップ的な歌を歌う子など
みてるわたしたちもとても楽しませてもらった。
帰るときに通った廊下に
就職が決まった子らの
お勤め先が貼り出されていた。
「パン製造」「一般事務」や
「巫女」なんていうのもあって
さっきあのホールで
おしゃべりしたり食べたり飲んだり
してた子たちが
春にはもう社会に出て行くのだなぁと思うとドキドキした。
今日、あの場所にいた
すべての子供たちが
来年のクリスマスも
楽しく美味しく
ケーキを食べられるように
それだけを祈りつつ。
駅までは徒歩だと20分。コミュニティバスも走ってはいるが、ほとんどの生徒は歩いて通学しているそう。
二階の多目的ホールに案内される。
まだ新しい机と椅子。机は台形や半月やそらまめみたいな形。
手洗いはついてはいるが、水は出ても排水がいまいち。
ホールの隣が控え室のようになっていて、そこに冷蔵庫や流しがある。
ホールの入り口付近ではブラスバンドが演奏したりするそうなので
ケーキ作りはホールの一番奥で行う。
机を5台並べ、そのうえにセッティング。今日はデモ含め6台を作る。
手慣れた先生の準備が完璧なので、ものの20分でスタンバイ。
おひるを食べながら、自分の高校時代のことなど話題に、窓の向こうに広がるのんびりした風景を眺める。
このあたりは白くて太いうどが銘産で、
小学生は社会科見学で「うど穴」を訪ねるのがお決まりなんだとか。
食べ終わるころにカフェの主宰、石井さんが現れる。
大きいひとだなぁ、というのが第一印象。さらに大きなギターケースをしょっている。スタッフからサンタ帽を渡され、被ってから、「俺、これ似合わないよ」と渋っている。
まあそういうのは似合うとかじゃなくて被る約束なのだ。
とか思ってたらなんとこちらにも回ってくる。
ええっ、これ、わたし被るのー?と思ったけど、
まあそういうものなのだから仕方ないので被る。
会場いちばん乗りは、元気な男の子と女の子。男の子は、よくお土産屋さんに吊るされている、レインボーカラーのうずまき柄のシャツを着ている。女の子の黒くて艶やかな長い髪には、スパンコールびっしりのリボン。
机の上のセッティングを見て
わぁ、いちご、食べたい、と大騒ぎ。
作らないと食べられないよ、と石井さん。
それから歌のリハをはじめる。今日はいろんな出し物があるらしい。
「歩いて帰ろう」「ラブリー」など、なんだかなつかしい歌も聞こえてくる。
ちびすけなムスメが夢中だったポンキッキーズ。あのウサギ、安室ちゃんだったんだよなぁ。
ふと、今の高校生がちっちゃいころに見てたテレビってなんだろうな、とおもったり。振り真似して踊ってた歌はなんだろう。
そこに、はにかんだ笑顔の女の子三人がやってきた。今日一緒にケーキ作りをしきる「ハンドメイキング部」の子たち。
ふだん、どんなものを作ってるの?と聞いたら、料理したりお菓子作ったり、と。
最近は文化祭でスコーンを焼いたそう。
「チョコがいちばん売れて、ごまが全然だめだった」んだって。
他にどんな味があったの?と聞いたら
「カレー」
えっ、カレースコーン?新しい、、とおもったら、なんか違う話だったらしい。
はじめましての大人に少し緊張したのかな。
気づけばホールには50人がところの高校生が、おやつを食べたり、ジュース飲んだり、カードゲームしてたり。
わぁわぁしてて大きな声じゃないと会話もできない。
石井さんがどこかから、マイクを調達してきてくれた。
ケーキ作りたいひとは奥のテーブル集合ー、と号令がかかると、
30人くらいが集まってきた。
まずはテーブル割り振りをしてから
みんなを集めて、先生のデモが始まる。
真剣な眼差しで見守る生徒たち。
いちごを並べるとき、サンドするまんなかには置かない、と説明しながら
「なんでかわかるひとー?」と先生が投げ掛けると
「切るとき邪魔だから?」と女の子。
ぴんぽーん。みんなで拍手。ちゃんと盛り上がってくれる。
スポンジをきちんと重ねて、上にクリームを絞るとこまでやってみせて
はい、あとは自由にどーぞー。
そしてなぜかところどころのテーブルに幼子が混じってる。
球技大会の手伝いに来てる母にくっついてきた妹ちゃんや、ボランティアさんの連れてきた子。
包丁の歯に不用意にさわろうとするのを、女の子が
「あっ、だめだめ、あぶない」ととめたり、
スポンジにシロップを打つのを男の子が優しくサポートしたり。
いちばん向こうの、メイクばっちりな女の子は椅子に座ってケーキ作り。
先生に聞いてはいたけど、ほんとにいるんだ、座ったまま製作。
デコレーションもそれぞれ個性的で、楽しく可愛らしい六台のクリスマスケーキ。
できあがったら適当にカットして分ける。
たくさんあるクリスマスのチョコプレートを、グループの人数分取ってきて、それぞれのお皿のケーキに飾る男の子。
あとから来る友達の分キープする女の子。
みんなおいしそうにあっというまに食べ尽くす。
テーブル拭くのを手伝ってくれて、ありがとうございました、と去る女の子。
ケーキを作るこどもの姿と
ケーキを食べるこどもの姿、
これ以上に可愛らしいものはないと
いつも思ってるんだけど
その愛らしさには
我らがミサリングファクトリーも
ここ、大和東高校も
一ミリの違いもない。
気づいてみたらそんなことは
とってもあたりまえのことだった。
なんだか安心した。
そのあとのYouTubeカラオケ大会で
ちびちゃんへのサービスに
アナ雪を派手な身振りで歌う子や、
切ない恋愛ソングを自分で選んで歌いながら、
「やばい、泣きそう」っていってる子や、
きっとこういうのが今の流行りなんだろうなと思われる、なんかよく聞き取れない低音のラップ的な歌を歌う子など
みてるわたしたちもとても楽しませてもらった。
帰るときに通った廊下に
就職が決まった子らの
お勤め先が貼り出されていた。
「パン製造」「一般事務」や
「巫女」なんていうのもあって
さっきあのホールで
おしゃべりしたり食べたり飲んだり
してた子たちが
春にはもう社会に出て行くのだなぁと思うとドキドキした。
今日、あの場所にいた
すべての子供たちが
来年のクリスマスも
楽しく美味しく
ケーキを食べられるように
それだけを祈りつつ。