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港北インターを越え
バス通りを左へ折れると
唐突に広がる畑と
細くじゃりじゃりの
上り坂
地図をよく見てきたつもりだが
お地蔵様の角でギブアップ
携帯を取り出す
はじめまして、の挨拶
優しそうな声
少しほっとする
考えてみれば
こんなふうに突然
面倒くさい作業を
お願いするのに
これまでメールだけで
やりとりしてたのも
失礼だったか
ただ
一番最初に
状況を説明したメールを
送ったあとに
いただいたお返事に
それは悲しいですね
気持ちわかります
って書いてあり
なんだかとても
ありがたく
連休中ということもあり
先方の予定も読めないので
都合よいときにお返事を
いただければよいかな、と
そのまま今日になってしまった
教えてもらったとおり
お地蔵様を背に坂を降りて
右手に折れたところの
奥に男の人が立っていた
自転車で来たんですか?
帰りどうします?
歩きます、と笑った
広々とした敷地の
葡萄棚を横目に
進んでいくと
プレハブが建っていて
それが工房だった
見慣れないものが
たくさんあるのに
雑然としてるわけではなく
すっきりと片付いてる仕事場
ご紹介くださった
F氏が
腕にまちがいはないから
といってたが
そのことが一目でわかった
お店の名前はKEEN EDGE
店主は中山氏
塗装業を営んでいる
先日の石巻行で
傷つけてしまった
自転車を直してもらおうと
持ち込んだ
予め写真は送っていたが
現物を確認し
どのように修復できるか
費用がいくらかかるか
相談させてもらうのが目的
フレームが変形してないので
傷の入った部分のみ
補修することを提案された
以前手掛けた自転車の補修の
写真を見せてもらった
よくよく見ればうっすらと
後からペイントした部分の
もとの色との境界があるが
ほぼわからない
もし、完璧に直すなら
フレームぜんぶ塗り直し
ロゴを手描きするんだけど
それだと10万以上するし
普通はそれでも
もとどおりにはならない、と
まあ、うちなら
もとどおりですけど
と、中山氏はにっこりした
私は
可哀想じゃない程度に
目立たなくなってくれたら
それでいい
10万以上は、払えないし
来月には乗りたい
と伝えた
順当に行けば間に合いますと
請け負ってくれた
他に何か、聞きたいことは?
と、中山氏
とにかく、まったく、ド素人で
なんにもわかりません
と、私
みんなそうですよ
店主は笑っていった
だいたいは、他にどうにもならず
困り果てた末に
ここを訪れるのだそうだ
ここ10日間の憂鬱が
ふきとばされてゆく
あとは
F氏とは写真をきっかけに
仲良くしていただいてることや
カメラの話などを少しして
よろしくおねがいします、と
工房をあとにした
帰り道
見上げる空は青く
オレンジ色のコスモスが揺れ
畑がいくつもあらわれ
・・・
あれ?
ここ、どこだ?
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