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去年の秋、チャブダイカフェのイベントで
マルチななっちゃんが点ててくれたお茶。
こんな風にお茶を点てられたらすごーくかっこいい!と思って
帰ってあれこれ調べてみたけど
気軽にホイホイ教えてくれるところなんかなくて
きちんと覚悟を持ってお金を注ぎこまないと
やっぱり無理かなあなんて諦めていた。
でもひょんなことからこの度
お点前をさせてもらえることができた。
しかもきっかけは「模型部」。
坂本さんが部長を名乗り
同志が集まってきて
我が家のガチャガチャしたリビングやベランダで
戦車なんかを組み立ててわーきゃーしてるやつ。
私はマネージャーなのでおやつを用意。
仕方ないからとびきり美味い牛肉でハンバーガー作ったり
高級白玉粉であんみつこしらえたり。
そしたら部員の一人、フジエもんのお知り合いが
「入部したいです!」と酔狂にも手を挙げた。
その人がお茶をされる人だというので
いつか体験したいと思ってたんですよねというと
7月にお茶会があるとのこと。
一時間の体験、自分でお点前もできて
1200円だって。これは行かなきゃ。
で、予約する時に初めてちゃんと知ったのだけど、そのお方
中村 如栴(なかむら にょせん)さんと仰って
壺月遠州流の家元だった。
な、なんかものすごいことなんじゃないか?
しかしそこはやっぱり模型部5人、アンツィオ高校のごとく
ノリと勢いで突っ込んでいく。
最大3名で1ラウンドとのこと、最初は
フジエもん、そのまえにさん、宮城さんの3名で。
私たちはカメラ片手に後方からニヤニヤ眺める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/46/5fc65feaae84e3fe781a7893aecad17b.jpg)
畳3畳分のお茶室、その手前左端から
如栴さんが白い壺を持って
凛々しく美しいすり足で直進し
壁にぶつかる直前で90度向きを変え
またすり足で釜の前へ。
壺を置いたら戻ってきて次は茶碗や茶筅や棗を
さらに戻って次は柄杓を運ぶ。
立つ、歩く、座る。その一つ一つが美しい形になっている。
茶匙や柄杓、茶筅を操る手から目が離せない。
「ではここからは、後ほど皆さんにやっていただきます。」
と、一つ一つの動作に説明をつけながらお茶を点てる。
ふと見ると、模型部3人組が真剣に手つきを見ながら
エアお点前。お、面白いぞ。
お茶碗に抹茶を入れ、釜のお湯を少しの水で温度を調節し、
柄杓ですくってお茶碗に注ぎ、茶筅で混ぜる。
なんてことないように・・・見える。が。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/1a/e019dceda2485848764b512d78cdd664.jpg)
さて一番手、そのまえにさん。
神妙な顔で釜のまえに座る。
棗の上の茶匙を・・あれどうやって持つんだっけ?
ひとつひとつ先生に確認しながら進め、
茶筅で泡立てるさまはなかなか決まってる。
終わって感想を求められると
「気持ちがいいですなー」とニコニコ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/07/fdad3a91e16fc2c14afdfaabf9508d23.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/b6/e91d6d06966d2219fbb6d33f03202d07.jpg)
そして続くは宮城さん。
棗を持ち上げる手がちょっと震えてる?
指が長くてかっこいいなあ、って、関係ないか。
そして泡を立てる、、、なかなか苦戦。
悔しがる姿がガチすぎるってば。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/38/dc20c1fad0b11a62e1b7933240bb360b.jpg)
最後はフジエもん、そのあまりのそつのなさに
「フジエもん予習してきたよね」「絶対そうだよね」
と前の二人からクレームが入る。
綺麗に泡の浮いたお茶の表面を見て
宮城さんがまたものすごく悔しがってる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/8d/1c5257e82d5a23b947d6c542991cb5c2.jpg)
そこで麩まんじゅうを提供され、やっと寛ぐ3人組。
美味しいおいしいと平らげた後
「甘いものの後にもお茶が飲みたいですなあ」
だって。
如栴さんが、じゃあもう一杯ずつ点てましょうか?というと
「いいーんですかあ〜」
こらこらっ。
後で聞いたら、やっぱり先生の点てたお茶は美味しかったんだって。
そしていよいよ自分たちの番。
何しろ合計8回も見ていたのだから楽勝。
(あいつらが二杯ずつ飲むからね)
そこへフジエもんが
「先生、この人お菓子を作る人だから
泡立てるのなんか簡単だそうですよ」
とか余計なことを言う。
それにしても間近で見ると
ますます如栴さんの立ち居振る舞いが美しい。
なんとかしてコピーできないかな。
手元をじっと見る。とりわけ茶筅の動き。
茶碗の真ん中から向こう側の面へのストロークが長く
手前はそんなに先端が上がってこない。
そういえば茶道で使う言葉として
「Mの字を描くように」ってなんか面白いな。
そして思いの外力強いスナップ。
武士の茶道。
お茶の量もお湯の量も
「ちょうどいいですよ」と褒めてくれる先生。
ガン見したおかげで茶筅の動かし方も褒められ
「おいしそうなお茶になりましたね」って。
おかげで今までいただいた中で一番美味しいお茶だと思えた。
自画自賛!
お茶は宇治の一保堂さんのものだそう。
結構なお点前で、だの
素晴らしいお茶碗で、だの
あれこれ喋らない。
無駄のない動き。どの瞬間にもある謙虚な心。
小さな空間をさらに結界で区切って産み出される聖なる空間。
の、後ろでガヤガヤしてる3人組。
勝手に動画撮ってSNSにあげてる人も。
この、手を伸ばせば簡単に行き来できる異世界。
靴を履いて戻るいつもの場所。
お茶を点てることは
泡をたくさん点てることでもなければ
形を間違いなく覚えることでもなくて
いつもの場所から少しだけ離れて
清々しい空間に身を置きながら
いつもの場所を愛おしく眺めること
なんじゃないかな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/26/f938cccea1dc88e87fdddb213312f064.jpg)
中村 如栴さん、ありがとうございました。
模型部の愉快な皆さん、また楽しいことご一緒しましょう。
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