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珍しく仕事中に夫からメッセで、何事かと思ったら
「折鶴作るのは好き?」
なんのこっちゃねん、と思いながらとりあえず「好き」と返事する。
「すごくデカい折り紙で」とすぐさま続きが届く。
この辺からちょっと不安になる。
折り紙のサイズ感の問題ではなく、夫からのメッセの頻度に、である。
浮気してる女宛ならいざ知らず、普段から夫はテキスト不精で有名で、
こっちからなんか連絡したってまあ半分以上レスは無い。
なのですぐさま返事の欲しい案件は通話するんだけど、そんなことは3ヶ月にいっぺんくらいしか起きない。
それがこの速攻ラリー。どうしたんでしょうか。
帰宅するとリビングの床に一辺1メートルほどの真っ青な正方形の紙が数枚。
夫の会社の商品で、プロモのために工場に千羽鶴をディスプレイするんだそうだ。
全社員最低でも一枚ね、と言われ、夫は生まれて初めて鶴を折ったんだと。
今まで折ったことないというのにも驚いたけど、折り方はネット動画見て習ったというんでもっと驚く。
私もやってみたけど紙の厚みがそこそこあるのと、このサイズで折ったことがないので一つ目は60点の出来。
普通の折り紙なら力で無理やり言うこと聞かせるところが、反発が強くて説得できないので、
ガイドラインを折った後一度開いてもう一度正しい山で折り直すという手間をかけ、二つ目は90点。
最初は三角じゃなくてやっぱり四角からかなあ、なんてやってると
「海外でもこうやって作るのかなあ」と夫。えっとね、折り紙は日本の文化ですね。
知り合って30年過ぎたけど、この人がこんなに折り紙音痴だとは知らんかったわ。
折り紙といえばなくなったおばあちゃんを思い出す。
パパのママで、若い頃女工してたときに機械で指先の何本かを損失した。
その指で器用に小さな紙をいくつも折る。細かな作業には竹串と爪楊枝を使う。
出来上がるのは和傘やくす玉やふくろうや白鳥で、今思えばあの紙はセブンスターやハイライトのパッケージだった。
タバコ呑みは誰だったんだっけ、おじいちゃんかな。
傘の骨の先端にはちっちゃく切った綺麗な色の和紙を巻いて糊で貼る。
ほぼ廃材利用のささやかな娯楽。おばあちゃんの姿を今思い浮かべようとすると、背中丸めてこたつで紙と遊ぶシーンしか出てこないから、きっと相当長い時間そうしていたんだと思う。
もしかしたら私の中にあるおばあちゃんの遺伝子が、こんな大きな贅沢な美しい紙で遊べるなんて、と喜んでいるかもしれない。
さて、100点満点の鶴が出来るのと、配当分の紙が尽きるのと、どっちが早いかな。
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