まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

かきごおり遊び2015

2015-08-03 07:26:19 | お菓子作り


カルピスを原液で飲むとしんじゃうんだよ、
って、真顔で云われて信じてたアホな子供が、私。

母は、子供が飲んでよいのは麦茶と牛乳だけだと考えていたので
カルピスがお台所にあるのは
子供らのだれかが具合悪い時だけだった。

たとえばお腹壊したりすると
母はカルピスに正露丸を溶かした
スペシャルな飲み物を作るのだ。
もちろん、よかれとおもっての
ことなのだが
飲まされる身としては
言葉には表せないくらい
恐ろしいクスリであった。

そんな母がある日、
とても素敵なものを買ってきた。
小さくて赤くてかわいい、かきごおり器。
銀色のハンドルをきこきこ手回しすると
しゃかしゃか削れた氷が落ちてくる。
お皿に山盛りにして、
色と匂いのついてるだけの
市販のシロップをかける。
食べ終わると、色がうつった舌を
姉妹でお互いに確認しあった。

そこにたまたま、カルピスが居合わせると
シロップのかわりにかけることも。
ものすごくおいしいんだけど
ものすごく緊張する。

原液をかけてるんだよね。
危なくないのかな。
氷と混ぜればいいのかな。

まったくもって、アホである。
でも、おそらくはそのおかげで
極上のおいしさを堪能できたのだと
おもう。

そして今、その小さな赤いかきごおり器は
私のお台所にある。

去年の夏、毎晩のように
氷をしゃかしゃか削り
思い付くままにいろんなものを
かけて食べた。
なんだかとても楽しかったので
今年の夏もやっている。



酸味のある果物はどれも合いそう。
スパイスもいけるし、ミルクもいい。
基本のシロップは、お砂糖7にお水5の割合で、小鍋に煮とかして。
自家製の梅シロップを飲みきってしまったのと
イチゴの季節にジャムを作っておかなかったのが、残念。

この前、はじめて中華街で
あらかじめミルクと砂糖を混ぜて
凍らせたものを削った
雪氷というのを食べた。
こくがあっておいしかったけど
やっぱり私は水だけの氷で
作りたいな。
ソルベとのボーダーが曖昧だし
食べながらシロップの濃度が
変わっていくのが楽しいから。
あとは、ただのふつーの氷が
なにかをじゃぶっとかけた途端
あら不思議、なんだか美味しそうな
おやつになったわ!っていうのも
面白い。

お買い物しながら、目についたものを
どうしたらかきごおりに合うかな
って考えるのも、なかなか楽しい。
そんなこと考えながらスーパーを
徘徊してるやつは、他にはいまい。

さて、今夜は何ができるかな。












箱根チャリ。

2015-08-02 15:34:59 | 日記


朝6時前、車に自転車くくりつけ
東名からオダアツへ。
目立った混雑もなくすいすいと一時間。

湯本の町営パーキングで
自転車の前輪をはめ、空気を入れてると
散歩中のおじいさんが寄ってきた。

なんでもこの先で先月
タンクローリーが道路からはみだし
崖下の木々を盛大に焦がしながら
旅館の敷地まで落っこちたとか。

積んでいた油と消火剤が混じり
川に流れ込んだので
今年の鮎は全滅した。

そこらの木や土が、まだ茶色くなって
残ってるから見てきてごらん、と。

ただでさえ不安満載な山行きが
ますます怪しげに思えてくる。

旧街道10キロ、標高700メートル。
ゆるっと走り出す。
あっという間にギアが下がっていく。
結構頑張ったと思ったのに
サイコンは2キロの表示。
うーん。とりあえず5キロ目指そうかな。

ほどなく、くだんの旅館に出る。
えぐれたガレ斜面、焦げた木々。
上を見る。道路はかなり高い位置。
あそこから、油抱えて落ちただなんて。

少し気が滅入り、よろよろ走り出す。
これ以上ギア下がらず。足が重たい。
3キロ地点で見えたのは、ド派手な鳥居。
さらにその前には、目を覆いたくなるよな
ヘアピンカーブ。
呆然としている私の目の前を
クライマーがしゅんっと上がっていった。

歩いて上る。少し傾斜が緩んだら漕ぐ。
また休む。ポカリ飲む。歩く。漕ぐ。
立て看板があれば、寄っていってのぞく。
そんなこんなで5キロ地点。
小さな滝に虹がかかっている。

朝早く上がっていったクライマーが
降りてきながら、挙動不審なチャリ(私)を二度見して行く。

そして6キロ地点、恐ろしい看板。
ここから1.2キロ、七曲り、だって。
またもや呆然とする。

メール着信。先にゴールして
茶屋まで戻ったというだんなさま。

今どこ?

看板のとこ。茶屋は無理っぽいから
てきとーに戻って、と返信すると
またもや着信。

七曲り越えて、猿すべり過ぎれば
茶屋だから、がんばってみて。

ふーむ。。。

こっち向きカーブは、木陰の涼しさ。
あっち向きカーブは、灼熱のおひさま。
道路で日光浴中のへび。
迷惑そうに移動していくとかげ。
よっぱらいのように漂うちょうちょ。

歩いたり漕いだり飲んだりで
さらに40分。
8キロ地点の茶屋に辿り着く。
奇跡か?

茅葺きの風情ある家屋のなかは
薄暗く涼しく快適。
若い女性店員はとても丁寧なことばづかいで、気配りこまやか。
青梅のシロップがかかったかきごおり、
これ以上おいしいものがあるだろうか。

帰りはらくらく下り坂、かと思いきや
ブレーキレバーがハンドルから遠く
握力が持たない。
なにかのはずみで、暴走しだしたら
しんじゃうかも知れない。
必死でレバーを握り、歯をくいしばる。
(歯をくいしばるのなんか、30年振りなんじゃないか?)

町営パーキングに帰ってきたら
ちいさな女の子と、その弟が
手のひらいっぱいに何かを集めて
遊んでいた。
みてみてー、と、持ってきたのは
セミの脱け殻。
すごーい、いくつあるの?と聞いたら
私の手のひらを使って(!)
カウントしてくれた。
全部で6個。本体は今ごろ短すぎる夏を
必死に生きているのだろう。

弟くんが今度は私に
なにをさがしてるのー?と聞いた。

今からおいしいもの探しにいくよ、と
答えて走り出したあとしばらく
私はほんとは何探してるんだろうな?と
ぼんやり考えていた。

箱根は私を歓迎もしなかったけれど
拒否もしなかった。

ま、いいんじゃないの?
楽しみ方はそれぞれで。
でも、せっかく遠路やってくるんなら、もう少し走れるようになってきたら?

そんなふうに云われた気がする。




8月のお菓子レッスン☆ディジョネーズ

2015-08-01 18:48:44 | お菓子作り


カシスはベリーのなかでも
かなり個性的。
イチゴは可愛いし
フランボワーズは洒落てるけど
こいつはちょい意地悪な
イメージ。

英語だとブラックカラント
和名は黒すぐり。
どろりと赤黒いピュレは
悪巧みでもしてるみたい。
手についたジュレを拭いたタオルは
惨劇のあとのよう。

オリジナルレシピは、酒量が半端なく
例によって、とおるちゃんなんかやらかしたんじゃないの?疑惑。

あ、とおるちゃんってのは
弓田先生を敬愛しての呼称ね。
会ってみたい方は代官山の
彼のお店へgo!
目印は「日本一おいしいフランス菓子」
の、看板。
見るたびに、にやにやしちゃう。

さて、ケーキの組み立ては
ビスキュイオザマンド
(土台のなかで一番好きかも)
カシスのババロアズ
カシスのジュレ。

ジュレは仕込みだったので
(先生いつもありがとうなのです!)
ビスキュイとババロアズだけだったのに
試食まで四時間かかったのは
いったいなぜだろう?

そりゃあ、私の持っていった
セルクルはがったがたで
キャルトンをはさみで切ったり
おしゃべりしてたら、ビスキュイを
16センチ丸にカットするの忘れて
すでにびしゃびしゃにポンシュしてたので
◎◎を××しながら△▼したのち
どうにかこうにかセルクルに
おさめたりは、したけれども。
(よいこのみんなが真似しないように
伏せ字でお送りいたします。)

実は過去に一度習ってる
このケーキ。
膨大な洗い物と闘いながら
ひろこさんと
「ディジョネーズってこんなに
大変だったっけ?」
と、ひそひそ。
シンクの水の濁り方さえ
腹黒い感じ。

へとへとになって片付けたら
先生作の美しいケーキに
まさに今、ジュレが
つやつやぴかぴかとかけられて

「はい!鏡面仕上げ!」

きゃー!!ぱちぱちぱち!!

鮮やかな酸味、ワインの芳香、
生クリームの優しい味わい、
たっぷりのポンシュをすいこんだ
ビスキュイのしっとり感。
(やっぱり一番好き)

悪いやつとか云ってたの誰よ。