12/6 椿も柿もなくなって、おじいさんは逝ってしまったのだ
長いこと、雨戸が閉まっていて、初めは長い廊下の雨戸を毎日開け閉め
するのは大変だからね。と思ってた。
その日は雨戸が開いていて、おじいさんが廊下でひなたぼっこをしていた。
外から声をかけようかと思ったけど、ちょっと勇気がいった。
ヒナコが勝手に柿を食べていて、
私は私の鳥たちによそのものを食べたらダメよと言った。
みんな辞めました。
あれは翌年の春か、植木屋さんが入って、植木の世話をしていた。
ちょうど大きな木の実があって、私は目が離せずみていた。
好奇心を押さえられず、植木屋さんに聞いた。
あれ、なに?
椿の実だった。
それを絞って油をとるのだそう。
初めて見た。
大きな実で、あれをそのまま絞って油にするのだろうか?
椿の木は隣の家にも何本もあったけど
実をつけたのは見たことがない。
椿ってオス、メス、銀杏みたいにあるのかしら?
更地になった土地はそれほど大きくはないけど、
ものすごくさびしい。
そこで一句
じいちゃん逝き 木も庭も消え 冬近し