『モチモチの木』(斉藤隆介・作 滝平二郎・絵)は次のようなあらすじの童話です。
峠の猟師小屋にじさまと住む豆太は臆病者で、夜はじさまを起こさないと雪隠に行けないほど家の前にある「モチモチの木」と名づけたトチの木が怖いのであった。そんなある晩、じさまは腹痛で苦しみだす。じさまを助けるには暗闇の中、半里(約2km)も離れた麓の村まで医者を呼びに行かなければならない。豆太は勇気を振り絞り医者を呼びに行き、じさまは助かる。そのときにじさまの話していた木に雪明かりがともり、モチモチの木とはこのことだったんだと意味を知る。しかし相変わらず豆太はじさまを起こさないと雪隠に行けないのであった。(ウィキペディア)
「まったく、豆太ほどおくびょうなやつはない…」で始まるこの絵本、最後には勇気を振り絞ってじさまのために夜道を駆けた豆太にじさまが言います。「にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ…」と。これは、作者が講演で語ったという次の言葉と一致します。
「私が言いたいのは、人間、やさしささえあれば、やらなければならないことはやるんじゃないか そう思うんです。」
「おのれをなくしてみんなのために尽くすことによっておのれの次元が上がるということを言いたいのです」。
大好きな絵本「花咲き山」のあやもあんちゃんも、「三コ」も「八郎」もみんな自分にとってつらく悲しく苦しい事でも、誰かのために勇気をもって我慢したりやり通したりします。それを作者は「やさしさ」だと言うのです。人を思う優しさこそが勇気を生み出す源だと。
「仁者必ず勇あり、勇者必ずしも仁あらず」―論語の言葉を思い出しました。
仁者とは、相手に対する思いやりも持った人、その仁者には必ず勇気がある、でも、勇気がある人だからと言って必ず優しい心遣い、思いやりがあるわけではないのだ。
豆太は、ひとりでは「雪隠」に行けないけれど、じさま思いの優しい勇気のある子なのですね。
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