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三年ぶりに障子を張り替えた。
子どもの頃はリヤカーに紙を剥がした障子を乗せて坂道を下り,川まで運んだ。水の少ない細い川に障子を浸し,縄をたばねた束子(たわし)で桟を洗った。固まったでんぷん糊をていねいに取り除くために,手足が水の中で凍えた。
今は糊も良くなっているのか,障子紙は剥がせばきれいに取れ,桟の埃を水拭きすれば済む。それでも,大小合わせて8面を張り替えるには,昼食をはさんで4時間を超える時間を要した。古い糊が「ダマ」になっていたこともあるし,障子張りにかぎらず,年々すべての作業時間が長くなっていることにも拠る。
就寝時には,部屋が明るく感じたし,灯を消せば何やら白い闇に包まれて落ちていく気分だった。『雪国』の冒頭部分「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」を思い出した。いつもは夜中に一度トイレに立つが,張替の疲れもあったのだろうか,久しぶりに「白い闇の中で」熟睡した。
障子を通す朝の光の中でのすがすがしい目覚めであった。
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