早朝から鵯がベランダのガラス窓に嘴を打ち付けて遊んでいる。遊んでいると思っていたのだが,調べてみるとそうではないらしい。ガラスに映った己が姿を敵と見て戦っているのだそうだ。いずれにしても困らされていることに変わりはない。私の眠りが妨げられるだけでなく,妻が洗濯物を干すのに困っているのが。鵯は洗濯竿に止まり糞を落とす。洗濯物を干せないのだ。
ホームセンターで「鳥よけ目玉」を買ってきて洗濯竿に下げた。空気を入れて膨らました風船はキラキラと陽光を反射した。何故なのだろう,あの目が怖いのか,キラキラテープが嫌なのか,二羽の鵯の姿が消えた。
2週間ほどたった。またあの嘴と羽を打ち付ける音が聞こえてきた。その日の朝以来,ぶら下がった「鳥よけ目玉」のなんと頼りない風情か。頭に来た妻は,なぜか赤い折り畳み傘を開いて竿に結び付けた。「そんなもの…」と言おうとしてやめた。彼女が鵯になって私をつつくだろうから。
ネズミモチの赤い実はまだたくさん残っているし,ベランダ横には山茶花の大木,キンカンの実も熟れてきたようだ。二羽の鵯は喜んでいるようで,日がな一日甲高く啼いている。
去る気配はまったくない。
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