思い出のコートの話

現在のおんぼろ我が家は、物置部屋だらけでございまして
洋服などどれだけでも置けるスペースがありますが
実家では、そうもいきません。

と言うわけで、この度、嵩張るコート類を断腸の思いで処分いたしました。


いつぞやのコートの写真ですが、ここに写っているものは殆ど処分いたしました。



そんな中、思い出深いコートが一枚ありまして・・・


私が、まだ熊本に住んでいた頃ですから４０年近く前の話になります。

「せい子宙太郎」と言うテレビ番組がありまして
その中で、女優の真野響子さんが着用していたコートがコレ↓



ちなみに、西田武生氏デザインのオートクチュールでございます。



なにゆえに、そんなものが私の手元にあるのかと申しますと

番組の感想文を書いて真野響子さん着用のコートをもらおう、と言うような企画に応募いたしましたところ
私の書いたものが選ばれたというわけでございます。

もちろん、当時の私にはコートを貰えたことも嬉しかったのですが
その頃、小説家を志すお方と文通をいたしておりまして、
（いつぞやご披露いたしました捨てられない１１通の手紙がそれでございます。）
原稿用紙に文字を埋めていく作業ができたのは、その方の影響あればこそでございまして
要するに、私にとってこのコートは、そんな青春時代の熱き思い出が一瞬にして蘇る
魔法の絨毯ならぬ魔法のコートなのであります。


若い頃に２，３回着用したものの、その後は着用機会もなく
さりとて捨てるには忍びなく、気がつけば４０年近くも仕舞い込んでいたというわけでございます。

で、この度、ようやく捨てる運びとなったのでしたが、それを見た長男が
お嫁さんが着るかも、と待ったをかけたのでした。

果たして今どきの若いもんがこんなものを着るとも思えませんが
とりあえず、処分先送りとなったのでありました。