ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

7/14  エレベーター企画「女優ものがたり」 公演 

2018-07-15 | 演劇
私が三十年前書いた戯曲の再演、演出はエレベーター企画の外輪能隆さん。彼はその三十年前に一緒に演劇活動をしていて、アーティスティックな演出でしっかりとした芝居を構成する、実力派の演出家です。なので、全く心配もなく、楽しみに伺いました。案の定、舞台空間は、綿、大きな綿の布団のようなものが瀧の流れのように敷き詰められ、その上に客も座る、といった、外輪ワールド。この平たい雲のような空間は、真っ白なので、映像が映り、照明も効果的。小劇場ならではのわくわく感があります。
登場人物は4人+ポチ(犬)。なんと、ポチ役は演出の外輪くん。ポチが出るとそっちに目がいきます。演出家が役者をくってしまう…。
お客様も笑ってほしいところで笑ってくださり、ほっとしました。
一方、私は舞台を見ながら、味わったことのない感覚に入っていきました。若い私の書いたもので未熟ではあるが、1人だった頃の自由さが、言葉に羽がついたように、飛んでいっているのを見て、変な感傷というか、かつての書いていた時間の全体が、妙にリアルにのしかかってきたのです。結婚し、家庭人となり、何を背負っていたというほどのことはないのですが、11年前に小町座を立ち上げ、今、町家の企画運営に関わりながら、朗読劇をまた立ち上げていますが、こうしたこととは関係ない、ただセリフを戯曲にだけ向かっていた、自由さに、妙に驚いてしましました。もちろん、戯曲的には、今書くものの方が、意図も構成もしっかりしています、なのに、今日の「女優ものがたり」の言葉の跳ね方は、若さゆえの気楽さもあるでしょうが、当時の演劇を取り巻く環境の自由度も感じてしまいました。そのことは、終演後に外輪くんとのトークでも言いました。
三十年は平成の時代にまま、重なります。今回の再演に感謝したいのは、自分の中でリセットすべきものがある、昔にまま戻るのではなく、しかし、再度、今日聞いたセリフの調べの正体をきちんと考えることが、本当に書きたい戯曲へつながるような気がしています。再演に感謝。
さて、役者さんたちは、外輪メソッド?!に鍛えられ、よく演じました。今回は母と子のブラックファンタジーといった芝居なのですが、登場人物は記号的で、だからこそ、つかみきれない普遍性もあるとは思いますが、唯一、人間的?な主人公の友達、フツ子役の沢井里依は、お得なキャラではあるのですが、弾けて楽しかった。小さな体のバネがきいてましたね。
7/15は三回(11時、15時、19時)、7/16は二回(11時、15時)とまだ五回公演があります。当日ありとのことですので、evkk1807@gmail.com までお問い合わせください。
写真は、アフタートークの様子。演出家の外輪くんは、ポチの衣装のまま。暑かったと思います!