ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

3/30公演「セリフと短歌で語る平成」を終えて

2019-04-03 | 演劇
新元号の発表があり、既に新時代?!へお祝いムードですが、月末開催された朗読劇公演の報告を。会場は町家のため、決してみやすいわけではありませんが、小劇場のような独特の空間があります。けれどやはり後方席が見えにくく…で、なんと前日、ほぼ、全て決まってたのに、舞台を創ろう!となり、組みました。キャストは重い舞台を運び、組んで…。出来上がったら中々、素敵!で結果良かったのですが、動きも段取りもほぼ、決まってから、舞台作る!なんて…キャストにしてみれば、青天の霹靂…。大変でしたね…。

①平成語り
平成の出来事を振り返って書きました。「それが今では」という、昭和と平成を同じネタで比較するミニドラマをいくつかしましたが、固定電話しかなく、父親とバトルする高校生のシーンは、父役の篠原さん、高校生役の西村さんの絶妙なやりとりに笑いが。また寅さんのような昔の売り手も登場、面白おかしくリズムよく展開でき、書き手としては、ウケルと嬉しいものですね。満田さんのロボットは癖になりますよ!
また、このコーナーでは、前登志夫先生の短歌と、私の歌集『ラビッツ・ムーン』から歌を劇中にいれながら構成しました。バブルで踊るシーンの後に、
前先生の歌、「木々の芽をぬらして春の雨ふれりそれ以上のことありとおもへず」を読むのですが、シーンの演出として、騒々しい中の歌の存在を、特に意識したわけでもないのですが、その歌を読むと、時間がとまるというか、空間が澄むというか、改めて先生の歌のすごさを感じました。歌が今聞く人の前に「とどまる」のです。こうした感触は、初めてでした。読み手の篠原さんも良かったです。

②小町座活動報告
今年で12年目となる小町座は、地元の親愛幼稚園のお母様たちのクリスマス劇から始まりました。お客様には、現役のお母様や、私より大先輩のお母様たちも来られていて…幼稚園の園舎も映しながら紹介でき良かったです。これまでの上演作品の一部を9本、選んで再現しました。キャストにしてみれば、切り取って演じるので大変です。「十六歳」という二人芝居があり、こちらを若いメンバーに初めて読んでもらいましたが、中々良く、二人が後で「この芝居やってみたい!」と言ったのも、嬉しいことでした。進行は私がしたので、そこが一番のダメ出しです。

③「3・11 いすものがたり」 東日本大震災の時に一気に書いたものの、機会がなく、今回が初上演。平成が終わる前になんとか上演できて良かった。「海ちゃん」という幼稚園の子が座る椅子が主人公。ところが地震で海に流され、壊れてもどんなに小さくなっても、「海ちゃん」に会いたいという健気な椅子を西村智恵が熱演しました。最後、懐かしい海辺にチリのように小さくなった椅子は帰ってきて、成長した「海ちゃん」の声を聞く…で芝居は終わります。再会できたと思えるシーンなのですが、演じてくれた若いメンバーは「本当に会えたのか、わからない…」と読んでくれました。それは、今も続く被災地の苦労につながる読みなのかもしれません。

④町家よ語れ
古い町家が語りますが、出演者には、ほとんど、何の指導もなく、すーっと町家になって読んでくれました。出演者が、これまでの稽古の積み重ねから、作品を読む力がついているな、と嬉しいです。

⑤町家文化館くるま座のこと
残念ながら閉館となる町家…代表の三井田先生が平成に立ち上げた町家での活動をお話されました。映像に映る町作り団体の皆さんは、とても若くて!?そして、いきいきと活動されています。この町家では邦楽のコンサートなど開催、また当時なかった町を自転車で巡る取り組みなども。これで
閉館は残念ですが、この町家でつながった人たちとは、まだまだこれから!です。

⑥小町座抽選会
小町座で作ったマグカップや私の戯曲と歌集を抽選で。全員に子ども向けに作った平仮名の短歌ハガキをプレゼントしました。

盛り沢山でした。写真は小町座フェイスブックに一足先にあがっていますので、ご覧くださいね。
今回、初参加の平成生まれ、二十代の二人、本当に頑張りました。2月の公演から1ヶ月、かなりのスピードで作りましたが、その対応の柔軟なこと。またカンがよく、読んで欲しい温度感を自分のものにしてくれます。いやいや、何より、「若いってこういうことなのね!」。お客様にも言われました。「若い人たちを見るのはいいね!」
四十代、五十代、これからも負けずに頑張りましょう!

↓プレゼントの短歌はがき。絵の中に短歌がみえます。一週間の歌として7首、7枚セット。以下は火曜日と土曜日。
(短歌…おの・こまち イラスト…Yoko kawata)