映画監督内田吐夢没後40年回顧 「命一コマ」 巨匠・内田吐夢の全貌 開幕 池袋新文芸座
初日ゲストトークの様子 14時15分より
韓 昌祐さん(マルハン会長[新文芸座]) 丘さとみさん(女優) 風見章子さん(女優)(左から)
司会聞き手 内田有作さん(内田監督次男 前助監督 前東映劇場支配人 前東映生田スタジオ所長)
急遽、丘さとみさんも加わり豪華な四人でのトークショーとなり、
会場満席の中、華やかなお話となりました。
「命一コマ」巨匠・内田吐夢の全貌 上映スケジュール PDF
東京池袋 新文芸座 公式HP
内田有作さんからの父内田吐夢監督上映の感謝の辞で始まり、この上映会のため(明大和泉校舎隣り築地本願寺和田堀廟所にある)父内田吐夢のお墓に参り、墓碑横の「命一コマ 吐夢」の碑を改め見てきた話をされました。
そして韓会長が若き学生の時、映画鑑賞にたっぷりのめり込み食費代を映画にあてたら入院送りとなった欠食学生のエピソードを語られました。しかしその結核治療時間の合間をみては、読書、クラシック音楽鑑賞などして自ら教養を高め心を豊かにする技を得、その結果ついには同じ病院に治療中だった内田吐夢監督と運命的出会いをし、知遇を得たそうです。内田監督とは、趣味、教養が同じ故か息が合い、本、音楽、左翼政治関係の会話で弾んだそうです。しかし、映画の話は避けていたようだったそうです。その後も、内田監督とその家族と交流をもち、その次男有作さんからお声を掛けられ今回の登場となった経緯を話されました。
次に、風見章子さんが”待っていました”というように当時の思い出話を次から次へと話されました。今回上映の「土」では、内田監督に誉められましたが、後の作品は監督から”不勉強者”と怒られたそうです。特に「飢餓海峡」では、”背中のお芝居”の演技指導が印象深く、監督に”まだ背中のお芝居が出来ないのかー”と怒鳴られ涙を流し、共演の高倉健さんや藤田進さんに心配されたた様子を話されました。その後、有作さんからこの場面はカットされたと告げられると、風見さんは”わ~、よかった”と言葉を洩らし会場を沸かしました。また「どたんば」では”そのお嬢さんのような歩き方はなんだ・・・”と言って怒鳴ったことなど、昨日のような事のように楽しそうに話されていました。また、内田監督は、芝居らしい芝居、新派のような舞台演技が嫌いであったことも話されていました。
そして、丘さとみさんの番になり、「宮本武蔵」で内田監督から三日もかかったワンカットの場面を披露してくれました。横から風見さんが”好きだったのよ”とちょっかいを入れると会場笑いの渦になりました・・・。また若い頃は女優で忙しく趣味など持てなく出来なかったのですが、今は時間に余裕もでき”今はわたしはパチンコが大好き”といい、隣にいるマルハン韓会長とのパチンコ談義で会場からは笑い声が上がりました。
トーク最後のまとめとして、また韓会長からのお話となりました。韓会長は、現在韓国から自伝映画を作らないかと言われているそうです。韓会長は、以前から映画が与える良質映画の必要性を思い、今でも音楽映画ならいいのではないかと思っている事も披露してくれました・・・。
また、上記のように学生時代に得た、娯楽、文化、教養の必要性は現在でも重要であり、その想いでマルハンは営利事業と並行し文化事業も力を入れていると話され、その一つとしてこの新文芸座の再興を行ったそうです。韓会長は”金儲けは技術、金使いは芸術”だと言い、その信念で財団を作り社会に還元している。ーと締めくくりました。
確かにこの新文芸座が存在してるため、日本での古今東西映画鑑賞レベルが維持できている現実があり、感謝している次第です。
また、売店では今上映会の記念パンフレット、風見章子さん丘みつこのサイン本なども販売されていました。
内田吐夢監督―韓 昌祐(ハン・チャンウ)マルハン会長―新文芸坐の因縁
新文芸坐「しねまんすりい」巻頭コラムより
蛇足ですが・・・・
以前、風見章子さんとは、東映教育映画部制作 総務庁製作映画でご一緒させて頂いて高知に参りました。なんと、その役は農婦でした。この「土」では、まだうら若く母に早く亡くなられた少女の農婦役でしたが、その総務庁の映画では老婆の農婦役でした。そのワンシーンに、カメラが遠くにいきロングショットからズームアップになる場面があり、風見さんと私だけで遠くの監督からのトランシーバーの声を頼りに、風見さんとの画作りは思い出深いものです。舞台での風見章子さんを拝見しましたら、懐かし思い出が蘇りましたので・・・。
上映予定
2010年8月4日(水)~11日(水) 東京池袋 新文芸坐 ゲスト多数
8月4日(水)
「限りなき前進」(日活多摩川1936年)78分
「土」 (日活多摩川1939年)117分
トークショー 風見章子さん、丘さとみさん 韓昌祐さん、内田有作さん
8月5日(木)
「血槍富士」(東映京都1955年)94分
「どたんば」(東映東京1957年)109分
トークショー 尾形伸之介さん
8月6日(金)
「酒と女と槍」(東映京都1960年)99分
「大菩薩峠」 (東映京都1957年)119分
トークショー 淡島千景さん
8月7日(土)
「黒田騒動」 (東映京都1956年)108分
「暴れん坊街道」(東映京都1957年)95分
トークショー 高千穂ひづるさん 丘さとみさん(特報 急遽決定)
8月8日(日)
「森と湖のまつり」(東映東京1958年)113分
「浪花の恋の物語」(東映京都1959年)105分
トークショー 有馬稲子さん
夜の部は、澤登翠さんの活弁公演
「人生劇場」(日活多摩川1936年)47分の短縮版
「警察官」 (新興キネマ1933年)121分
8月9日(月) 夜は落語会のため5時ごろ終了
「たそがれ酒場」 (新東宝1955年)94分
「花の吉原百人斬り」(東映京都1960年)109分
トークショー 水谷八重子さん 16:30~
8月10日(火)
「大菩薩峠・第二部」(東映京都1958年)105分
「宮本武蔵」 (東映京都1961年)110分
トークショー 星美智子さん、入江若葉さん
8月11日(水)
「飢餓海峡」(東映東京1965年)183分(全長版)
トークショー 内田有作さん