この作品に主演した仏女優の名作「汚れた血」(1986)のジュリエット・ビノシュさん。二十歳ちょっとのお年ごろで一番輝いていた頃で私もこの作品を観て一変で気に入ったフランスの女優さんでした。そのお気に入りの仏女優が、時が流れ二十数年以上過ぎた女優として映画・演劇での年を重ねた役柄の葛藤をこの作品でジュリエット・ビノシュさんが己自身の精神的・肉体的立場で等身大で演じている作品に興味があり観たいと思っていた作品です!この”年”という問題はどうしても避けて通れない生き物の宿命です。それは「時代」の流れが、時代に迎えられた若者たちの新しい才能を生み、そして時代と共に追いかけられる自分を顧みないといけない時が必ずありそれに葛藤し苦しまなければならないのは至極当然なのです・・・。その葛藤を乗りきれるか挫折するかわ己自身の心の持ちようだと思いますがー。この作品でのジュリエット・ビノシュさんは20代の新進女優の名声から40-50才の円熟期の演技と追ってくる新人女優の葛藤は他人事ではない気がします。それは俳優業だけでなく、その裏方や小説家、音楽家、画家など作家性の強い芸術作品に携わっている人たち全てに言えることですので、この作品を是非観てみたかった理由の一つでもあります。未だ日本上映未定のようですが・・・。
また映画のように確かに最近のビノシュ女史元気がなく、先の米メジャー作品「Godzilla」(2014)での出演では全く観ても記憶が無いほどの存在でした。あの映画「存在の耐えられない軽さ」とは同じ女優さんとは思われませんでしたが・・・。それ故に等身大の女優として悩んでいるジュリエット・ビノシュの等身大のこの作品「Clouds of Sils Maria 」を是非早く観たいと思っていた次第です。まだ理由は沢山ありますが・・・。
なお、Sils Maria シルス・マリア とは、スイスの小さな町の名だそうです。
Fin de Mauvais Sang
「Mauvais Sang 汚れた血」1986年 仏 邦公開1988年2月6日
やはりジュリエット・ビノシュさんはハリウッドメジャー作品でなく、このようなCinéphile シネフィル
作家性のある作品によく 愛 ます!
蛇足ですが、奇しくも年代は違いますがジュリエット・ビノシュさんと母は同じ日に生まれています。
日本とEUの時間差7、8時間ありますが・・・。
なお上のFin de Mauvais Sangのラストシーンでは、バイクに乗って走り去るのは「ボイジャー」「トリコロール 白の愛」のジュリー・デルピーでゴダール監督と一緒によく組んでいる仏女優さん。また腕を鳥の羽のようにひらき飛び立とうと走るのが若干21才ちょっとの若きジュリエット・ビノシュさん。そしてその後を追うのがフランス映画界を代表する名優ミシェル・ピコリさんです。