台風で時間が空いたので、わざわざシネコンまで映画のはしごに…
入間市のシネコンは比較的良心的で、どの部屋も高めの階段型なのでどの位置からでも比較的見やすいつくりになっている。
まず『サンクタム』から。3Dでジェームズ・キャメロンがエグゼクティブ・プロデューサーというちょっと微妙な肩書きでクレジットされている。が、単なる名前貸しではなく、原案や3D撮影のためのサポートはじめしっかりコミットしているようだ。パンフレットによると、自分で監督しなかった理由は、3000万米ドル?という比較的低予算(!)できちんと3D効果を生かした映画ができることを証明したかったらしい。そして多分ちゃんとした3D映画が撮れる監督を育てたかったからではないだろうか。
確かにこれは「低予算」の映画とは思えない映像だ。洞窟の中のシーンがセットだったとは今でも信じられないくらいだ。
で、感想や解説の方は、何ともつまらんことに(笑)実は模範解答がパンフレットに載っていたりする。語っているのは正露丸のCMや『世界の車窓から』で御馴染みの石丸謙二郎氏。アウトドアスポーツが得意とは聞いていたが、この人洞窟探検もやるのだ。
ということで全部石丸氏に言い尽くされているので今更書きにくいのだが、この映画はプロフェッショナルによる極限状態での危機管理をかなりリアルに描いたフィクション。冒険映画なのだが、普通、映画に期待されるドラマ的つくりがされておらず、あまり救いも無いストーリーで、終わってから、例えば『アポロ13』のようなカタルシスもない。ついでに色気もない(ねーちゃんの下着姿はちょっとあるがサービスカットのうちに入らん)。エンターテインメントとしては多分失格だがこれはこれで正しい。何となく。実録本読んで勉強する感じにちょっと近い。
『アポロ13』は石丸氏も言及していたが、僕が最初に連想したのは落合信彦氏の『傭兵部隊』など傭兵や特殊部隊関連のノンフィクション本だった。だから怪我で身動き取れなくなった仲間を次々と(!)「楽にさせてやる」シーンも特に違和感なく観る事ができた。
舞台のスケールとリアリティは充分合格点だがキャメロン氏がサポートしたにもかかわらず、3D技術は充分に活かしきれていない印象だった。まず冒頭からヘリで洞窟の入口まで飛ぶシーンでも、『アバター』のような目を見張るインパクトがない。『アバター』は2Dでも凄かったから、これは多分どれだけ緻密に描きこんでいるかによるもので、予算や製作期間の違いが出てしまっているのだろう。また、水中のシーンも3D化されているが、カメラが固定されているため、今ひとつ3Dらしい臨場感がない。これなら多分通常の2Dでもっと上手く描写できる。洞窟にダイブするシーンも同様。ちょっともったいない。また、暗闇ももっと上手く利用できたはずだ。
この作品は基本的にキャメロン氏の好みの題材をそのまま映画にした感じだが、未だ3D効果を生かす題材やノウハウが徐々に業界内で溜まってきている段階なのだろう。この映画で確実にわかるのは、まず相当高画質な映像にする必要があること。撮影は「スクリーンの外やファインダーから眺める」のではなく「その場に居る」視点を常に意識する必要があること。
ということでWOWOWさん、ジャパンオープンの会場に3Dのデモブースつくってくれませんか?(笑)
実は先に観たのは『ツリー・オブ・ライフ』の方なのだが、
これそんなにすごい映画かなあ…
かなりの部分監督の自伝的な内容であること、子供の頃の断片的な記憶と印象をそのまま映像化したようなつくりであること、ベースに流れるのが宗教的「物語(テーマ)」であること。特に目新しさを感じなかったし、事前に目にしたレビューで言われて期待したほど「イメージ映像」も美しいとは思えなかった(何よりあんまり鮮明でなかった。これは映画館の責任ではないと思う。)。
最近どうも気になるんだけれど、映画をつくる側や業界の「ノリ」やコアターゲットのバックグラウンドに過剰に「配慮」しないとつまらなかったりわけわからんアメリカ映画多くない?「お前にゃ教養や芸術的感性が不足してるのだ」と言われればそうなのかもしれないけど、もっと抽象的な表現しててもきちんと伝わる映画は他にたくさんあるからなあ。これは作り手側の傲慢(もしくは内向きすぎる作品を無理やり宣伝する配給側の怠慢)でないの?
入間市のシネコンは比較的良心的で、どの部屋も高めの階段型なのでどの位置からでも比較的見やすいつくりになっている。
まず『サンクタム』から。3Dでジェームズ・キャメロンがエグゼクティブ・プロデューサーというちょっと微妙な肩書きでクレジットされている。が、単なる名前貸しではなく、原案や3D撮影のためのサポートはじめしっかりコミットしているようだ。パンフレットによると、自分で監督しなかった理由は、3000万米ドル?という比較的低予算(!)できちんと3D効果を生かした映画ができることを証明したかったらしい。そして多分ちゃんとした3D映画が撮れる監督を育てたかったからではないだろうか。
確かにこれは「低予算」の映画とは思えない映像だ。洞窟の中のシーンがセットだったとは今でも信じられないくらいだ。
で、感想や解説の方は、何ともつまらんことに(笑)実は模範解答がパンフレットに載っていたりする。語っているのは正露丸のCMや『世界の車窓から』で御馴染みの石丸謙二郎氏。アウトドアスポーツが得意とは聞いていたが、この人洞窟探検もやるのだ。
ということで全部石丸氏に言い尽くされているので今更書きにくいのだが、この映画はプロフェッショナルによる極限状態での危機管理をかなりリアルに描いたフィクション。冒険映画なのだが、普通、映画に期待されるドラマ的つくりがされておらず、あまり救いも無いストーリーで、終わってから、例えば『アポロ13』のようなカタルシスもない。ついでに色気もない(ねーちゃんの下着姿はちょっとあるがサービスカットのうちに入らん)。エンターテインメントとしては多分失格だがこれはこれで正しい。何となく。実録本読んで勉強する感じにちょっと近い。
『アポロ13』は石丸氏も言及していたが、僕が最初に連想したのは落合信彦氏の『傭兵部隊』など傭兵や特殊部隊関連のノンフィクション本だった。だから怪我で身動き取れなくなった仲間を次々と(!)「楽にさせてやる」シーンも特に違和感なく観る事ができた。
舞台のスケールとリアリティは充分合格点だがキャメロン氏がサポートしたにもかかわらず、3D技術は充分に活かしきれていない印象だった。まず冒頭からヘリで洞窟の入口まで飛ぶシーンでも、『アバター』のような目を見張るインパクトがない。『アバター』は2Dでも凄かったから、これは多分どれだけ緻密に描きこんでいるかによるもので、予算や製作期間の違いが出てしまっているのだろう。また、水中のシーンも3D化されているが、カメラが固定されているため、今ひとつ3Dらしい臨場感がない。これなら多分通常の2Dでもっと上手く描写できる。洞窟にダイブするシーンも同様。ちょっともったいない。また、暗闇ももっと上手く利用できたはずだ。
この作品は基本的にキャメロン氏の好みの題材をそのまま映画にした感じだが、未だ3D効果を生かす題材やノウハウが徐々に業界内で溜まってきている段階なのだろう。この映画で確実にわかるのは、まず相当高画質な映像にする必要があること。撮影は「スクリーンの外やファインダーから眺める」のではなく「その場に居る」視点を常に意識する必要があること。
ということでWOWOWさん、ジャパンオープンの会場に3Dのデモブースつくってくれませんか?(笑)
実は先に観たのは『ツリー・オブ・ライフ』の方なのだが、
これそんなにすごい映画かなあ…
かなりの部分監督の自伝的な内容であること、子供の頃の断片的な記憶と印象をそのまま映像化したようなつくりであること、ベースに流れるのが宗教的「物語(テーマ)」であること。特に目新しさを感じなかったし、事前に目にしたレビューで言われて期待したほど「イメージ映像」も美しいとは思えなかった(何よりあんまり鮮明でなかった。これは映画館の責任ではないと思う。)。
最近どうも気になるんだけれど、映画をつくる側や業界の「ノリ」やコアターゲットのバックグラウンドに過剰に「配慮」しないとつまらなかったりわけわからんアメリカ映画多くない?「お前にゃ教養や芸術的感性が不足してるのだ」と言われればそうなのかもしれないけど、もっと抽象的な表現しててもきちんと伝わる映画は他にたくさんあるからなあ。これは作り手側の傲慢(もしくは内向きすぎる作品を無理やり宣伝する配給側の怠慢)でないの?
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