某ちゃんノート

わざわざ電話するほどじゃないしなぁ・・・
メールすることもないよなぁ・・・
でもちょっと思った、ふと思ったこと

台所のおと

2011-12-05 | 読書メモ


『台所のおと』
 幸田 文

以前友人からもらった幸田 文の本数冊
本というのは不思議で
向こうから近寄ってくるような感じがする
表題だったり
背表紙の漢字だったり
表紙の絵だったり
ふと呼び止められたり
ちょっと気になって声かけたり
そんな風に出会うもので
もらったり、紹介されたりだと
なかなか向き合えない
寒くなってきて
ふと呼ばれたようで
読み始めた
ちょっと控えめなコだ
内容は
とても繊細で優しい
夫婦が心を通わせて、じっくり話すところなど
「眼をつなぎながら話す」
と表現している
料理人は
「自分は食べものをこしらえる他には用のない男で
 それをしている限りは手持ちぶさたはなかったし
 慰められていた」
という
そして病床で聞く妻の調理仕事の音を読む
ちょっとした心の曇り加減
冷静に装う緊張
高揚感
そういったものを魚をさばく音や鍋の蓋を置く音に読み取る
ピンと張った空気感なのに
たおやかでもある
言葉の所為かな
落ち着いて味わえる
良い時間になりました