転院先の病院に着くと、すぐにスタッフさん達がオジイを処置室の方へ。
診察の間、私は問診票やら入院手続きやら、いろいろ書類に記入。
先生に「誕生日を決めてください」と言われ、あまりに急だったから、今日から状態が上向きになることを信じて「じゃあ、今日で!5月12日」
オジイ、私の一存で5月12日生まれになっちゃったよ。
処置室に案内されると、オジイは酸素室の中で寝返りも打って動いていました。
院長先生は、入院していた病院での検査結果を見て「やっぱり厳しいのは変わらない」と。
あとは「輸血で一時的にでも体調が回復すれば…」と。
「延命を望んでるんじゃないんですけど、あともう少し希望があるなら…」
院長先生は「この病院に輸血ドナー登録してくれている猫はいるけど、すぐに見つかるわけでも、血液型が合うわけでもないから、出来るだけ候補の頭数が多い方がいいので、自分たちでもドナー猫を探してほしい」と。
とても前向きに治療してくれそうな頼もしさを感じました。
オジイに声をかけ、体を撫でて、院長先生にオジイを託し、帰宅してから輸血に協力してくれる猫を探しました。
地域猫仲間も保護団体さんのツイッターでドナーを募ってもらえるよう頼んでくれました。
後で知ったんですが、このツイッターでの呼びかけで、すぐにドナーに名乗り出てくれた飼い主さんがいたみたいなんです。
スゴイ、ツイッターの拡散力と影響力!
翌日のお昼前に面会に行く段取りで、私は夜、眠りにつきました。
朝6時頃、私の携帯に電話が…!
こんな時間に電話なんて嫌な予感しかない!
飛び起きて出れば院長先生で「オジイくんの呼吸が小さくなって来ています。今から来られますか?」
「すぐ行きます!」
自転車を飛ばして、雨の中、病院へ。
奥に通されると、オジイはもう心臓を止めて、台の上に横になっていました。
院長先生が懸命に心臓マッサージをし続けてくれています。
「オジイ!オジイ!やっとおうちが出来たんだよ!?オジイのおうちが出来たんだよ!?」
「ごめんね!いつも後手後手で!おうちで看取ってあげたかったのに、ごめんね!」
そのままオジイは呼吸を吹き返すことはありませんでした。
先生がオジイにつけた医療器具や管を外す間、私は誰もいない待合室で無遠慮に泣き続けました。
院長先生に再び処置室に案内され、私たちが帰ってからのオジイの容態を話してくれました。
あれから院長先生は、ご自身の猫ちゃんからオジイに輸血をしてくれたそうなんです。
ラッキーなことに血液型が合ったそうなんです。
そして、輸血してもらったオジイは、自分でご飯を食べたんだそうです。
その時のオジイの様子を動画で見せてくださいました。
モリモリ食べてる!
オジイが自分でモリモリ食べてる!
その動画をみて、嬉し泣きでまた号泣。
先生もオジイのその様子に、持ち堪えてくれるかなと期待していたそうですが、残念ながら、朝方、呼吸がおかしくなったと…
「オジイを家で自分が看取る」
その願いはとうとう叶わなかったけど、こちらの病院で最善を尽くしていただいたことは本当に感謝しています。
だって、オジイに最後に食べるという生きる力を与えてくれたんですから。
オジイも食べて元気になって、またうちに戻りたいって思ってくれたんじゃなかろうか。
オジイは野良の時もどんなに辛い体調だって「食べる」ことは諦めなかったから。
先生は「体を綺麗にしてみたんですけど、これが限界で…」と。
前の病院でも入院中のオジイの体をかなり綺麗にしてくれていましたが、もうサラサラのふわふわで、あんなにこびりついてた泥のような黒い塊もニオイも完全になくなっていました。
すご〜、どういうケアしたんだろう?
治療費の精算は「後でいいですよ」って言ってくれました。
オジイをダンボールに入れて、自転車の後ろカゴに入れたら、雨に濡れないようにその上からバスタオルを被せてくれました。
お昼にまた治療費の精算に訪れた時に、オジイの検査結果を丁寧に説明してくださいました。
やはり肝臓のダメージが大きかったようです。
貧血も黄疸も、他のいろんな症状も肝臓のダメージから来るものだったようです。
やっぱり女医さんは、ちゃんとこちらの話も聞いて、飼い主の気持ちに寄り添ってくださるから安心する。
たった半日しかこの病院にいなかったけど、オジイが今まで辛い野良猫生活を送っていたこと、やっと保護して家に迎えられたこと、再び家に生きて連れ帰ることが出来なかったことの悔しさと申し訳なさ、全部聞いてくれました。
「タラレバ」を言ったらキリがないのはわかってる。
でもやっぱり考えちゃう。
捕獲したあの日に検査出来ていれば…
その後がGWで病院が休みじゃなかったら…
退院した後、そのまま家に連れ帰っていたら…
最初から入院先がこの輸血出来る病院だったら…
でも、逆にこうも思えて。
もし捕獲出来た日に病院で検査出来ていたら、そのまま即入院で、我が家にオジイを迎えてあげることすら出来なかったかもしれない。
一緒に過ごした5日間のないまま、病院で逝ってしまったかもしれない。
あ〜『もしもBOX』がほしい!
オジイにとってどれがベストな選択だったの!?
いや、それを言うなら『タイムマシン』で、オジイがここまで酷い症状になる前に遡って保護してあげられたら…!
今となってはもう意味のないこと…
そして、今回のオジイの件は、地域猫仲間の協力があったからこそ。
オジイが野良猫のまま死んでしまう前に、グループラインで偶然繋がりを持てたおかげで、一緒に考えてくれて、アドバイスくれて、行動を共にしてくれて。
保護も、入院も、転院も、輸血も、私一人だったらままならなかったと思う。
下手したら、私はただオジイにご飯を与え続けるだけで、そのうちオジイが姿を見せなくなっちゃったなんて事になってたかも。
悔やむことはたくさんあって、それを考えると胸が苦しくなるけれど、ただ1つ、オジイを外で、ひとりぼっちで、私たちが知らない間に野垂れ死にさせずにすんだことだけは私の救いです。
地域猫仲間、転院先の院長先生とスタッフさん方、ずっとオジイを見守り励まし祈ってくださった方々に感謝申し上げます。
あ、そうそう、オジイが最後にモリモリ食べてた動画を院長先生に送ってくださいってお願いしてるんだけど、携帯のメールでもパソコンのメールでもうまくいかなかったみたいで未だ届かず…!
先生もそういうのに疎いらしくて(笑)
でも、オジイの生きようとした最後の姿、どうしてもほしーーーーい!