移り行く夏

アラームに起こされた。
充電器から外そうとスマホをみると充電率は３０%。
充電中のランプもついたままだった。

しばらく、あちこち触ってみたけど変化がなかった。
再起動して充電器を差込み直して数分間にらめっこ。
３１の数字を確認して二度寝した。

次に気が付いたのは９時前だった。
流石にもう起きなきゃ、と身体を起こすと腰痛くんがお出迎え。
近頃は眠り過ぎると良くやってくる。

少し大股に足を開いて、肘で身体を支えながら洗顔。
顔もさえなきゃ、目も死にかかっていた。
「まぁ、ボロボロでも今日もやるだけやってみましょう」
と微笑みかけた。

食卓についてテレビをつければ、
オリンピックの開会式をやっていた。
息子もやって来て久しぶりに同じテレビを見ながら食事をした。
妻は家事優先で立ち止まることはあっても、
同席することはなかった。

日本代表選手団を見てから出るわ、
と、家を出たのは１０時頃になった。
出掛ける前、息子の表情に自分自身の幼少期の面影が流れて行った。
鮮明な風を感じたのは初めてだった。

外へ出れば今日も快晴。
山の端には夏の雲が早くも湧き立ち始めていた。
昨夜の雷雨のせいか
蝉の季節も大きく移り代わっていた。