氷点下の朝を迎えた。
曇った窓の向こうで霜が白く光っていた。
非日常の朝に安らぎを感じていた。
ここで始める1日の始まりはいつもお墓参り。
吐く息も白く、コップの水も凍っていた。
珍しく、パトカーのサイレンが、澄みきった空を駆け抜けて行った。
迫る年末とやりきらなければならない物事の多さにバランスを失い、一旦、とにかく逃げ出して来た。
社会生活を営むには、思考主導で物事を進めて行く必要に迫られる。
続けているうちに、その判断や行動が、人としての在り方とズレて行くのはよくあること。
自然に包まれて、都会とは違った、ちっぽけな生き物としてうごめく。
身体の声をいつもより丁寧に聞いてみる。
ゆったりと初冬の空気を、マスクなしに吸い込み、吐き出してみる。