①軽油引取税暫定税率分は撤廃を
軽油引取税は、同じ軽油を燃料として使用する使用者の中でも道路にて使用するものから徴収されています(鉄道や船舶からは徴収されていません)。軽油を燃料として道路使用するものの大半はトラック運送事業者です。軽油を大量に消費し、コスト高のもとでも運賃価格に反映しづらいトラック運送事業者にとって、軽油引取税は暫定増税分を含めて大きな負担です。
いきおい、その分を労働者に犠牲転嫁します。
そもそも軽油引取税暫定税率は道路建設を目的として上乗せされた目的税であり、そのために道路使用者に限定して徴収されてきた経緯経過をふまえ、道路特定財源を一般財源化した以上、軽油引取税暫定税率分は撤廃すべきです。
②「交付金事業」のあり方
i 運輸事業振興助成交付金制度の現状
運輸事業振興助成交付金制度は、軽油引取税暫定税率30%のうち15%相当額を財源として、各都道府県より当該トラック協会に交付される「補助金」であり、1976年度から実施されて今日まで継続されています。各都道府県トラック協会に交付される金額は年間総額約百数十億円、うち4分の1が全日本トラック協会に出損されています。
おもな事業内容は、近代化対策事業(利子補助金による低利融資で、物流施設の整備、荷役機械車輌の更新など)トラックステーションの建設、適正化事業、交通安全事故防止対策事業となっています。
ii 今後の制度活用について
軽油引取税暫定税率と一体の財源であることから、軽油引取税暫定税率を撤廃すればその存立根拠を失うことになりますが、これまでの実績や今後のトラック運輸産業の発展にとって、制度の継続は絶対に必要です。税制全般の問題として他の財源との調整をはかりながら、制度を維持することです。
トラック運輸産業は圧倒的に中小零細事業者が多く、福利厚生面の立ち後れが目立っています。今後の労働力確保の観点も含めて、退職金制度の充実など交付金制度を活用した福利厚生の充実・労働条件の改善をはかり魅力ある業界づくりをはかることです。
しかし、2007年初頭に、国交省貨物課長から交付金を「健康診断の補助や福利厚生に使用しないこと」が通達され、それまで保養施設の補助や健康診断の補助にあてられてきたものが活用できなくされました。これは「圧倒的に中小零細事業者が多く、福利厚生面の立ち後れが目立つ」というトラック運輸産業の現実を見ない暴挙です。これでは就労条件の悪さから「2015年には約14万人ものトラックドライバーが不足する」との国交省の分析からも乖離しています。
「交付金事業」のあり方について、ガラス張りの民主的な運営をはかることが求められます。
そのために交付金対策小委員会に労働組合の代表を加えること、各都道府県トラック協会にも交付金対策小委員会を確立し、労働組合の代表を加えて、交付金制度の民主的運営と拡充を要求することです。