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「特異性」という大原則

2025-01-06 13:41:28 | その他
 スポーツのトレーニングに「特異性」という大原則があります。サイクルロードレースでも高地トレーニングでVO2MAXを増やすという試みがさかんになされているのです。山岳ステージを征する者がグランツールを征すると言われているからです。

 今年の箱根駅伝を見ていて、青山学院大学は箱根の山を征し、箱根駅伝連覇を達成したといえるでしょう。往路1区で飛び出した中央大学が4区までトップを守り続けていましたが、5区山登りで青学の逆転を許してしまいます。1万mのタイムでは上回っていた中央大学ですが、登りで遅れ、下りではさらに順位を落としてしまいました。

 逆に箱根の山で躍動したのが青学でした。2位駒澤大学との総合タイム差は2分48秒。うち山の5区+6区だけで2分35秒差がついています。平地8区間の差は13秒だけ青学が速いのですが、これだけならどっちにも転びうる微差なのです。出雲と全日本を征して3冠を狙った3位國學院は、総合で青学と9分28秒差でしたが、そのうち6分41秒が山での差なのです。

 ともに区間新記録をマークし、青学大の連覇に貢献した5区の若林宏樹と6区の野村昭夢。なぜ青学大は毎年、山区間を「外さない」のでしょう。平地の駅伝では国学院大学のスピードに対応できなかった青学が山に勝負をかけてきた結果だと思います。そしてその勝負に勝った青学が箱根を連覇してしまうのです。1万mのタイムは遅くても山の登りと下りは走り方が独特で、山の適正も大いにあると思っています。

 NumberWebのインタビューで青学の原監督は「箱根駅伝は山上り、下り(の戦力)を持っていれば、優勝だけではなくてシード争いも優位になります。区間1位と2位以下のタイム差が一番広がりやすいのが山上り、山下り。そこを攻略しないことには昨今の箱根駅伝では勝てないでしょうね」と答えているのです。
 1万mのタイムでは中央大学や国学院大学が上回っていたのですが、スペシャリスト不在で総合5位と3位という結果に終わっています。ただ、若林も野村も4年生ですから、他大学も山のスペシャリストを育てることができれば平地のタイム的に青学を上回ることは可能でしょう。

 且つての青学には『山の神』と呼ばれた神野大地という選手がいました。小柄で細身の選手でしたが、登りが抜群に速かった。サイクルロードレースでいうクライマー体形のランナーでした。今年の若林も京都の洛南高に進学後、山上りの練習メニューではライバルたちに先行したそうです。そうしたスペシャリストにしっかりと目を付けて入学させる青学は流石というしかありません。

 単に5000mや10000mのタイムとは違い、登りや下りの才能を見極めるのは非常に難しいことなのかもしれませんが、ロードバイクのようにスマートトレーナーを使って、パワーや心拍数を計測すれば、登りの向き不向きが見極められるのではと思っています。数値が高く5000mや10000mのタイムが良い選手はトラックや駅伝の平地区間を、数値が高いのにトラックのタイムが出せない選手はクロスカントリーや登りの走りを試してみることは出来ないものでしょうか。
 陸上の長距離選手なら心肺機能が高い人たちばかりなのでしょうが、そんな選手の中でも5000mや10000mのタイムが出せる人とそうでない人がいるはずです。箱根路を走ることの出来る選手は毎年10人だけですが、必ずしも10000mやハーフマラソンのタイムが良い選手が勝てるとは限らないのが箱根駅伝なのです。特に標高800mを超える箱根の山をどう攻略するのかという「特異性」が勝敗を分けることはどの大学の監督も分かっているはずなのです。ただ、山のスペシャリストを見出し鍛える術が青学の原監督にはあるのでしょう。
 






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