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美しい自然とともに

焼きたての食パン

2012-01-14 20:46:29 | 日記
焼きたてのフランスパンを買ってきた。美味しくて食べすぎてしまう。
食事時ならともかく間食なのだ。
正月に食べすぎて、少し太ってしまった。
これではいけないので、食べるのはこの辺でやめよう。
そんな時、昔食べた美味しいパンのことを思い出した。



 その頃、僕は5,6歳。まだ小学校に上がる前だったので、そんなものだったろう。
 鎌倉駅から歩いて10分ぐらいのところに住んでいた。そこから7,8分ぐらいのところにパン屋さんがあった。「マルキ」というパン屋さんだった。我が家では父親の胃が悪かったので、朝はパン食にしていた。それで、そこのパンばかりを買っていた。
 
 その食パンは、今のようにビニールの袋には入っていない。白い紙で包んでくれる。
 僕は朝早く、パン屋さんのガラスケースからようやく顔を出して
「食パン一斤ください。8枚に切ってください」と言っていた。
 パン屋さんの小母さんは、スライサーで8枚に切ると、白い紙で包んで
「ハイ、できたよ」と、ぼくにくれた。僕は持ってきた買い物かごに入れて、「有難う」と急いで家に帰ったのだ。
「初めてのお使い」のように一人で買い物に行ってきた。
 親から任されて買い物に行くのは、少し大人になったようで嬉しかった。
 たびたび僕はパンを買いに行ったのだ。

 そのパンは、見た目は普通の食パン。イギリスパンのように頭が盛り上がっているわけではなく、デニッシュパンのようにバターたっぷりの層ができているパンでもない。
 ごく普通の食パン。
 パンの耳は他のパンより、若干固め。でも、噛むと、カリッ,サクッとして、少し甘味を感じる。耳を取って食べることなどしない。
 むしろ、耳が食べたい。
 中の部分は、真っ白で、しっとりとしている。焼きたては特にそうだが、少し時間がたっても決してパサパサとはしないのだ。
 僕はこのパンにはジャムでなく、バターをたっぷりつけて食べた。
 このころのマーガリンは今ほど美味しくはなかった。バターに似せてはあったが脂臭いような気がした。
 だから、やっぱりバターが良かった。
 食べていると、小麦の香りだろうか、とても、芳しい香りがしていたのだった。
 
 また、食べたい。しかし、今はもうこのパン屋さんはなくなってしまった。
 朝、暗いうちから起きてパンを焼いていた、小父さんも小母さんも今はもういないのだ。





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