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美しい自然とともに

「破損した脳、感じる心」 犬塚芳美

2013-02-03 20:40:51 | 日記
事故で頭を強打して脳出血を起こしたご主人とともに、妻である犬塚芳美さんの闘いの記録。読みやすく、興味深く読めた。

この本は3年前七沢病院にリハビリ入院していた時の同室のMさんが送ってくれた。

早いものでもう、3年になる。いまだに、当時同室の人たちとメールでやり取りしたり、食事をしたりしている。
特にMさんとは頻繁にメールのやり取りをして、励まし合っている。というよりむしろ、僕の方が励まされている。


犬塚さんは僕とは比べ物にならないほどの多量の脳出血し、顔が変わるほど腫れてしまった。
左脳にダメージを受けたので、右半身の麻痺が顔までも。話すこともうまくいかない。その上、高次脳機能障害。


読んでいると、3年前が思い出される。

僕は小脳だったのだが、ダメージによる頭の腫れが原因だったのだろう。
2ヶ月ぐらいは小学校1年生ぐらいの足し算ができなかった。

目眩がまだ激しくプリントを見るのも大変、頭は普通に動いているつもり、でも、答えが合わない。
3回やれば3回とも違う答えで、しかも不正解。不思議と焦りとかショックは感じない。ただ不思議だった。

その他テレビを見ることができない。じっと見ても集中しない。終いには気持ちが悪くなる。
本や新聞も読めなかった。

直前の記憶が極端に少ないのには、少し焦った。
先生が短い文章を声をだして読む。すぐに、その内容を答えるのだが半分答えられれば良い方。
読み終わって30秒ほど経ってから答えると、ほとんど忘れていた。

ただ、以前の記憶や人と約束をするなどの記憶はちゃんとある。
先生が言うには、記憶にもいろいろあるらしい。頭とは不思議。


大塚さんは芳美さんの献身的な働きもあって、信じられないほどの回復を見せる。
絶望的なことでも、決して諦めない、常に明るく前向きに進む。落ち込む自分を前向きにしようと努力をしていた。

三年前を振り返ると、僕たちの部屋はそうだった。ここにいる間は先のことを考えても仕方がない、と皆でいつも話して、元気に笑っていた。落ち込んでいる人を皆で励ましたこともあった。これが、僕たちの回復にはとっても役立った。


芳美さんは、「本当の苦しみは退院したあとにやってきます」と言っている。
本当にそうだ。


犬塚さん夫婦は負けずに、新しく変わってしまった人生を進んでいる。
僕もあの病室でのみんなの元気な顔を思い出しながら前に進もう。



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