宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

雨宝童子(水配りの祭祀1)

2007-11-03 | Weblog
雨宝童子(水配りの祭祀1)

 正確には金剛赤精善神雨宝童子といい、雨宝陀羅尼経が根本経典である。
頭上に五輪塔、右手に金剛宝棒、左手に宝珠を持つ童子形の尊像で表現される。
大日如来の化身ともされ、伊勢では天照大神がその垂迹した姿とする。
難陀龍王と共に十一面観音の脇侍としてまつられることが多い。
ちなみに宝満山の本地仏は十一面観音である。

 江戸前期にあたる明和4年(1767年)の『宝満山絵図』には
現在の筑紫野市側の谷奥に「雨宝堂」が描かれている。
現在では金の水の谷に雨宝窟の推定地があり、
その場のこととも考えられるが宝殿のような建物の建つ余地はない。
いずれにしても窟からは谷水が流れ出し水源の聖地には違いない。
現在でも修験の行中に舎利を拾う聖地にもなっているそうで
山中においても信仰の要所であった。

『竈門山旧記』によれば
「此外(七ヶ所岩屋)に雨宝の岩屋という処あり。小角(役行者)俄かに
雨に相此岩屋にて凌玉う。小角雨に宝の岩屋との玉う。
後世雨宝童子を安置す。側に獅子童子、竜樹菩薩在ます。
行者修行の砌出現し玉う是処と成。同所竈門山法立灌頂の地也。」
とされ、その聖地観が述べられている。

推定雨宝窟

つづく

追伸

今月末に本谷付近の山作業を予定しております。
また、次回の例会は12月8日(卓話・忘年会)の予定です。
詳細は追っておしらせします。

事務局