宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

「長床」(水分りの祭祀2)

2007-11-07 | Weblog
「長床」(水分りの祭祀2)

雨宝童子の続きを一席。

宝満での雨宝童子は獅子の瀧、獅子宿との関係が強いようである。
『竈門山旧記』は続けて「其下に滝あり。獅子滝という。
行者閼伽水汲玉う水也。雨乞の節秘法所也。」
獅子の宿は修験道が盛行した江戸時代には峰入りの拠所とされ
春峰の出発点であり、英彦山春峰の受け入れ折り返し地点でもあった。

現在は獅子の宿は「長床」と呼ばれる谷地の平場に候補地がある。


長床とは、本来は峰宿における護摩炉壇を意味したが、
次第に山伏の修行場としての機能を持つ施設の呼称になったもの。
熊野本宮においては社殿前に「長床」が置かれている。
また熊野では長床に依拠する山伏を長床衆と呼んだ。
このようにこの場所長床は修験道においては
山中における根本的な活動拠点となった場所である。

そして修験道で最も崇められる役行者の由縁が語られる場所でもある。

つづく