12月17日にロシア外務省がNATO東方拡大を止めると書面で出せと宣言して、関係各国との条約案を提示してから10日。
とりあえず何も起きてはいないものの、米ロは来月12日にジュネーブで会議をすることにした模様。
日本語記事を探したらこれがあった。ソースはTASSだって。じゃあ私が見てるのと同じだね(笑)。
対ロ協議、来月12日の開始提案 NATO
で、この問題は広く、ロシアのultimatum(最後通告)だと言われているけど、それも無理はない。
何度も書いている通りNATO東方拡大というのは、NATO加盟国に知らせずに行っていた戦争準備行為なので、自国の安全が侵害されている状況をこれ以上見逃すわけにはいかないとロシアが言い出すのもまったく理の当然。
だからこの話は、
(1) -1 NATOが東方拡大しませんと宣言する
(1) - 2 宣言すると恥なので別の安全保障の枠組みを作って欧州の安全保障をめでたく祝う
OR
(2) - 1 あくまでロシアと戦争する→ 経済・テロリスト・生化学混合全面内緒ごと戦争(現状)
(2) - 2 あくまでロシアと戦争する→ 全面武力紛争
この2種しか帰結はない。
そして現状では、(2)の可能性が絶大に大きい。なぜなら、米国務省もEU外交部もロシアをくじく、ロシアを跪かせる、ロシアを略奪する etc.(任意)という願望を捨てられないから。
今般の欧州エネルギー危機も、EUが自分からロシアとの間を粉砕する気でやっているとしかいいようがない(自分から、長期契約を破棄し、夏場にガスを貯めなかった)。
また、RTのドイツ語放送がドイツ政府によって停止させられ、復活したが2度目には今度は衛星放送の事業者を動かして停波させるという強硬策をドイツ政府が取っている。これは普通、戦争準備だろうとドイツ人のメディア関係者が言っていたが、控えめに言っても何かしようとしているからそうなる。
RT responds to German channel’s satellite broadcast ban
さらには、ロシアまわりのことで冷静なことを書いている、米英の何人かの元職が外交官、情報機関勤務といったじいさんたちには、有形の圧力がかかっているのではないのか、と見える。1人は確実にそうで、その人は、米のあるシンクタンクの人が自宅を訪問し、難詰された顛末を自身のWebで表明していた。
総じて、少数だが決して屈しないタイプの人たちはいるわけで、その人たちが「主流」の意見に抗していることがここまで邪魔になるということは、それはつまり、西側が何をするつもりなのかが読める人たちが邪魔だ、ということですね。何かをしようとしているから邪魔なのだろう、としか思えない。
で、多くの西側の人は、(2)になると自分たちの方が強いわ、と軽く思ってたりするんじゃないかと思う。だがしかし、現状すでに (2)-1は行われているわけで、それで一体西側の優位性は上がったのか?と顧みれば、見通しは明るくない。
そして、西側の人間は、デフォルトで「世界」とか「国際社会」がロシアを許さない、とか書かれると、ロシア以外の全部が自分たちの側にいるかのような錯覚に陥る。というより、これが主流メディアの詐術。

だがしかし、実際には、この図の下の赤いところだけが、対ロシアで気が狂っている。
他は、中国は基本的にNATO東方拡大はやめろのロシア提案に賛成だし、インドは中立的にふるまおうとしている。インドに関しては、西側の軍門に下らなければユーラシア側としてはまったくOK。図の赤組に入らなければいいから。
だから、識者によっては、このまま無暗な「私だけ特別主義」を進めると、西側はイラン、中国、ロシアを一度に敵に回す恰好になると警戒して記事を書いている人もいる。
自分の人生の中でここまで戦略的な盤面が揺れているのは初めてだ、
"There has never been a more unsettling strategic landscape in my lifetime."
と、英テレグラフの名物記者 Ambrose Evans-Pritchard が書いている、というのは結構地道な話題。
こうしろ、と他者から指示を受ける形になったことそれ自体が、西側エリートたちにとっては驚きの事態だろうと指摘する人もいる(元MI6の人が言うからさらに興味深いわけだが)。
Never a More Unsettling Strategic Landscape
また、もちろん、エネルギー、食糧等々からいって、ロシアの主たるマーケットがアジアに傾くということは、ヨーロッパはどうするつもりなのだろう???という根本的な問題を懸念する人もいる。ノードストリーム2が破産プロジェクトとなり、その代わりに中国、モンゴルとのパイプラインがまたできるという事態は、まさにその話。
ロシア産の天然ガスは別に欧州向けで減ってないが、他方で、中国向けも伸びている。
Russian gas exports to China reach 'record' level
しかしそれらの警告も、注意も、前から言っている通り、膨大な予算を使ってデマ屋を大量に雇ってる現状では、西側各国において真面目な議論に結び付かない。
■ 話されても困る
ウクライナのことだけが話題になってるけど、西側でこの絵を進めている人たちにとって現在最も頭の痛いことは、各国の国民の意思とはまったく無関係に、「ほんとはずっと戦争してました」がバレることではなかろうか。
つまり、勝手にNATOを拡大して、勝手にユーゴスラビアを解体して、勝手に旧ソ連内部に入り込んで勝手に対立してた、とか、NATOはテロリストを隠れ蓑に、チェチェン、アフガニスタン、リビア、シリアを駆け回ってました、みたいなことが西側の各国民の中で表立って議論されることこそ、最も避けなければならないのでは?
実のところ、各国の安全保障問題の決定を取り上げて、つまり主権国家をぶち壊しながら「西側」とかいうフレームを作ってきたのが過去70有余年、特にこの30年でございましたというところ。これを、各国の頭のいい人たちが気づいて、いいのかこれ?となりだしたら、そりゃ、困るでしょう。全員が「忖度」度数の高いチームかどうか、確実なことは誰もわからないわけだし。
だから、そこに気付かせないために、そのためならば、どこまでもデマを流して、人々の着眼点を別のところ別のところに持っていく、というのが現状ではなかろうか。コロナが騒動化しているのも、実のところ上の図の赤組だしね。他はそれはそれなり。
で、それは一体何を目標としているのでしょう? そして、全体としてどこまで各国の世論の形成が可能なのか、誰か統治している人はいるのだろうか? そういうふうにはとても見えない。
ということで、来年は正念場になると危機感を強めているのは、アメリカのスコット・リッター他の、いわゆるリアリスト系統。
2022 — Year of Major Power Conflict Over Ukraine
https://www.youtube.com/watch?v=ND-eLBvq2xs
「112」というキエフのテレビ局の番組の一部で、キーバという政治家が弁舌を振るっています。彼の所属する「生活のための野党」という政党は、確か今現在では最も支持されている政党で親ロシアです。(党首のメドベチュークはプーチンの友人)
曰く、「2014年のクーデター以来、国は良くなったか?全ては破壊された。そして今、西側は我々を戦争に向かわせようとしている。彼らは戦闘に加わらない。我々はいつまでもマリオネットで良いのか。」この演説にスタジオの一般客から拍手が、僕にとっては非常に意外でした。西側と西ウクライナのネオナチの暴力が支配している現状を打ち破る手段があるのかどうか、難しいでしょうが、こういうマトモな声がテレビで放映されているのは少し前進かなと思いました。
ありがとうございます。
そうなんですよ、普通に普通の人はいるんです、ずっと。
だけど、テレビ局をオリガルヒが持ってる地区ではこういうのは流れてないと思います。
また、多分この党なんだと思いますが、有望な政治家が軟禁されていると言われてます。
私としては、殺されてないだけ一歩前進かと思いました。
これまでどれだけ有望で勇気のある人たちが殺されたり迫害されてきたことか!
オリガルヒと英米に雇われた馬鹿者とネオナチの馬鹿野郎以外のウクライナ人が暖かく過ごせますように!!