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GHQ焚書図書開封 第52回:世界史的立場と日本

2013-11-16 13:40:05 | GHQ焚書図書開封

GHQ焚書図書開封 第52回:世界史的立場と日本

http://www.youtube.com/watch?v=7BhNPT6oR6E

出演:西尾幹二

平成22414日 放送

昭和17年に行われ、中央公論に発表されていた高名な知識人たちの座談会をまとめた本。座談会の名前が今回の標題である『世界史的立場と日本』。動画からみると、雑誌に発表されたものが翌昭和18年に本としてまとめられていたようだ。

■今回のご本
『世界史的立場と日本』
座談:高坂正顕 西谷啓治 高山岩男 鈴木成高
昭和18年 中央公論社

昭和の戦争がアジア方面から、真珠湾攻撃を挟んで太平洋上におけるアメリカとの戦争になっていった頃に行われた座談会をまとめた一冊。その時点ではまだ日本は緒戦の勢いがある頃なので、座談会の前提では日本は勝つことになっている。

といって国民的な昂揚感を狙ってそんなことを言っているのではなくて、西尾先生が長々と読まれたところではむしろ新しい時代に突入していくことへ武者震い半分の気構えが見え隠れするようにも聞こえた。

この時点までの戦争とは、戦って、講和して、また日常に戻るといったもの。しかし、この戦争をきっかとして別のことになるんじゃないかとこの話者たちは語っている。それはつまり、秩序と秩序の戦いになってるからなんだろう、と。このへんの読み筋はさすがにパースペクティブの長い学問をやってる方々ならではなのだろう。

結果からみれば、実際いわゆる第二次世界大戦というのはどこかで決戦があってそれが終われば勝敗がつく、仲介者によって講和が成立し、互いに傷つくが一方が何かを失って他方が何かを得るが基本的に元に戻るといういわゆる限定戦争型ではなく、総力をあげて敵(主に日本とドイツだが)をコテンパンにやっつけた後に、その地の体制変更まで予定し、実行したわけで、座談会のみなさんがおっしゃっていたことはまったく正しかった。

(ただ、日本がそういう、グランド全体戦争みたいなことをやられる立場だった、とはこの高名な学者の先生方はご想像なさっていなかったのか・・・とみえる。ただ、そういう想像をしていたとしても、戦争のさなかにはそうは言えない、というブレーキもあったかもしれないが。)

秩序と秩序の戦いになるということは、それは一回では終わらず、結局戦争はずっと続くのだろうとも見通している。西尾先生がおっしゃる通り、日本では自分の戦争が終わった後は戦争のない時代が到来したかのような錯覚がまかり通っているが、第二次世界大戦後というのは、実のところずっと戦争しっぱなしの時代だ。ここもあたっていた。このへんが見通せたのも、基本概念として秩序と秩序の戦いだと考えるに至ったからなんだろうと思う。

10年ほど前の一時期、レジーム・チェンジなる言葉が流行りのように、主に罵倒のために使われていたが、思えばあれは、あの風変りな大統領が正直すぎただけだったのかもしれない。あるいは、手のうちを明かしてしまっても遂行する以外にないという段階だということか。

「戦後」というのは、ある世界史的立場に日本が組み入れらる時代だったのだなとつくづく思い、そして寂しくも思った。


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