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「長州レジーム」から日本を取り戻す! 維新前後の妄想

2018-01-02 17:40:23 | 参考資料-幕末

お正月そうそう、岩上さんのところの、

「長州レジーム」から日本を取り戻す!というキャッチフレーズのついたシリーズを視聴した。

シリーズの詳細はここ。一般会員の方はここらへんから今でも見られます。そうでない方は単品500円で視聴できます。

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/382111

 

お話になっているのは、拓殖大学・関良基准教授で、お話の下敷きになっているのはご著書の

赤松小三郎ともう一つの明治維新――テロに葬られた立憲主義の夢
関 良基
作品社

 

大変興味深いです。ただ、オフィシャルバージョンであってもいわゆる明治維新というイベントの成り行きを知らない人にはちょっときついかもしれないです。

内容的には、ここ数年有名になった、「明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」とかぶります。

明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト〔完全増補版〕 (講談社文庫)
原田 伊織
講談社

 

さらにいえば、この有名になった本は、(難癖をつける意図はまったくありませんが)、昭和27年という早い時期に出されたこの本に相当似ている、またはその解読である可能性もあるのではないかという指摘もある。

維新正観―秘められた日本史・明治篇 (PP選書)
蜷川 新,礫川 全次
批評社

蜷川氏はあの室町幕府の政所執事の伊勢氏の家臣で、それ自体で政所代を出す家柄。その後徳川幕府の旗本となって維新を迎えたお家。そして著者は、明治維新というイベントの悲劇的な関係者でもあった、旗本小栗忠順の義理の甥にあたる、インテリの方であったようにみえる(まだよく調べてないのでざっくりのネットサーチの結果ですが)。

 

■ 維新周辺の獰猛さ

で、いろいろと論点のある話だし、今年は明治維新から150年というので安倍内閣はお祭りにしようとしている風があるので、折々に批判していこうと思う。

それはそれとして、このブログ的には、上の動画の中のこの話をまずご紹介したい。

明治維新前後の関係者の、わけのわからない夜郎自大な世界観でございますよ。

一般に、吉田松陰が、朝鮮と満洲を取れと言っていたという話は有名だけど、それどころじゃないんですよというお話。この話は前にも書いた気がするけど、多分、当時の主だった人たちがこれほどまでであったとは、一般にあまり知られていないような気もする。揃いもそろって、あっちもこっちも取れ、切り取れ、という頭になっていたわけですよ。

この中で松陰に次いで有名なのは、おそらく佐藤信淵。実際大陸に切り込んでいる時代にはむしろ称賛されていた。

 

動画からクリップさせてもらって、加工しました。

 

 

 

 

こういう発想を持っていた人たちが明治政府を経営していたのだと考えれば、1945年まで続いた膨張運動には何の不思議もないというべきでしょう。

まだ日本国内をどうするのかもわからないうちから、北海道に歩を進め、台湾、朝鮮に対するアプローチがあって、ついに日清戦争が来て、勝った。講和条約でかなり法外な要求をしていたのもここから見ればまったく無理がなく、次に日露戦争が来て、実際には日露直接対決という戦争ではないのだが、ともあれ勝って妙な自信をつけた。そして、そこで終わらないのも無理はなかった、って話に見えるわけですよ。

アメリカ、ロシアとの間でビギナーとしては上出来の外交をしていた江戸幕府の人たちとの差は歴然というべき。そしてそれらの慎重で腹の座った幕閣が騒動のたびに潰えていったことが日本の不幸でしたね、ほんと。結局日本というのは、妄想に基づく膨張主義 vs 外交、要するに田中義一 vs 幣原、みたいに考えるとたいていわかりやすいと思う。

2018年にとって安心なのは、中国もロシアも強いので、いかに安倍ちゃんが俺の晋の字は高杉晋作の晋の字だと言おうとも、だからなんだで終わる可能性の方が高いことだが、それでも、長州を声高に言う人たちが政権を取っていることの不安感はぬぐえるものではない。

世界情勢が大変だから私たちも大変だというのは一つあるとして、しかし、同時に、私たちは独自に大変な人たちを抱えているという考えを断固持つべき。2018年は、明治維新との戦いだなと思う次第。

 

■ オマケ:心の支え

心の支えとして、私が好きな日本史の中の天皇はこういう感じ。

「満城の紅綠誰が為にか肥ゆ」

そして、川路聖謨や岩瀬忠震が活躍する日本であったらと思わずにいられない、というのを過去のことにせず、またそうなるのだと思い続けたい。

川路聖謨や岩瀬忠震の時代を想像してしまう。あの人たちが快活に振る舞えた日本のままであったなら、と思わずにはいられないのが歴史好きの私の本音ですね。

幕末、日本との交渉にあたったプチャーチンに随伴していた作家のゴンチャロフは、川路の聡明さを愛でる快活な文章を残している。そこからわずか50年の後、日露戦争の仲介人として英米がついたとわかった途端、なんの脈絡もなく樺太を攻めて占領する我らの日本軍がそこにいた。同じ民族とはとうてい思えないぐらいの変化をしたのは、ロシアではなく日本の方だと私は思う

ロシア破壊願望をやめられない日本

 


 


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2 コメント

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『バルバロッサ作戦に憑り憑かれた狂信者たち』 (ローレライ)
2018-01-03 19:25:10
ナポレオンと秀吉に憧れる『バルバロッサ作戦に憑り憑かれた狂信者たち』の『天皇人質クーデター』で成立した明治政権だが『バルバロッサ作戦に憑り憑かれた狂信者たち』とは日本国民は知らない事が『無責任政権』を許す原因となる。
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ますますその線が重要だと思うようになる今日この頃 (ブログ主)
2018-01-03 20:01:14
ローレライさん、
いやほんとに、ますますその線が一番の根っこの問題という感じが濃厚だと思わざるを得ない今日この頃です、ほんと。

で、なんで司馬遼太郎がノモンハンを書けなかったかの解もここにあるというのが私の説でございます。
返信する

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