昨日、トルコの記事を書いたけど、その際にいくつか読んだ中に、地中海沿岸が高温で、湿度は10%台のところさえあったという下りがあったので、さっそくVentuskyを見てみた。
これは今日の分。
大雑把にいって、茶色が湿度が低い。白は水蒸気むんむん。
トルコあたりは10%台から30%台のところが多いようだ。日本付近は、誰でも知ってる通り、まぁその、水の中一歩手前みたいなもの。
日本の中で、そんな10%台の湿度になるのは冬しかないといっていいと思う。冬だって限定的では?
西ヨーロッパは今日は湿度が高いけど、大西洋からの風がない時にはもっとずっと乾燥してる。でも、まぁ、地中海から中東にかけてのような乾いた暑さはあまりないと言えるでしょう。
こっちは海水温。紫っぽいのが30度近傍以上の高温、黄色が20度前後、緑はそれ以下。
西欧州と米国西海岸はだいたい似てる。海水温がそれほど高くないので、海沿いの風が心地よい、などと言える。
日本列島と米国東海岸は似てる。日本で仙台付近、米でNY付近になると海風が涼しくなる。それより南は、海の表面温度が高いので、風も大して心地よくない。
って感じでしょうか。
昔は、こんなモデリングを一般人が毎日見られるような時代ではなかったので、かなり大雑把な感覚で気候を語っていたと思う。例えば、緯度が低ければ暑い、高ければ涼しいと信じ切ってる人が結構多い。
しかし、サンフランシスコと東京は2度ぐらいしか違わないけど、夏の気温、体感温度はとても違う。ウラジオストクは北緯43度と緯度が高いが、気温の高い日本海に面していて、実はかなり暑くなるところ。ロシアは寒い、涼しいと信じ込んでいる人が多いが、黒海周辺はとても暑い。
また、インドは全域暑いことは暑いが、糞暑いのはむしろ北の内陸部で、半島部は南極側からの風が吹いて、気候的に糞暑いという感じではない日も多い。オマーンあたりにやたらに高級なリゾートがあるのは、結構いい感じの過ごし方が可能だからなのかもしれない、など思ったりもする。下図は地上付近の気温。
■ 冷気は敵だった
で、意図せず、いかに日本付近は暑くてむしているかを書いて、夏場なので勢いそれが嫌なことのようなことになっちゃったけど、いやしかし、ついこの間まで、人類にとっての恐怖は飢餓なわけだから、こういう涼風のないところが結局好まれたのも無理はないのではなかろうか?
仙台付近の東風は、今街を歩くと大変に快適で、もう東京に帰りたくないと真面目に思わせるものがあるわけだけど、その、東の海から吹いてくる冷涼な風が毎日の陸と海の温度差による一過性のものではなく、気圧配置等で持続していた場合に「やませ」となって、農作物の生育を阻む大変に不吉な風になったわけですよね。
地中海(黒海を含む)にしても、瀬戸内海から中国沿岸部の東シナ海にしても、なんでこんなアホみたいに暑いところに人がごじゃごちゃ住んでるのよ、と言いたいところではあるけど、それは、ついこの間までの人類にとってたいそうな便益があったからこそそうなったんだろうな、などと思う。
とはいえ、いろいろと品種改良も進み、燃料次第では克服できる寒さの領域は減ったわけだから、密集圏はもう少しばらけて住んでもいいだろうとも思う。