今週は、日銀政策決定会合がありそこでの黒田総裁の方針に注目が集まった。
その数日前に、日銀が金利抑制のために頑張ってますが、1日で4.6兆円も使ったという話しがあって、こりゃもう、膨張する中央銀行も先は長くないだろうと多くの人が疑問を持った。
日銀が国債購入、1日で最大額 4.6兆円、金利抑制
その後の会合では、10年債金利は12月にあげた0.5%、緩和は継続といった姿勢を示し、会合のすぐ後に世界経済フォーラムなる会議に出席するためスイスに飛んだ。
■ 精彩を欠いてイロモノとなるWEF
ダボス会議は、数年で見違えるようなものになっていると思う。本人たちが変わってない、ますます俺様たちは世界を仕切る重要な人物たちなのだ、どうだ、と言ったところで、世界中の人々のダボス会議なるものに対する認識が、好むと好まざるとにかかわらず大物の集合なのだというものから、嫌悪されるものとなり、今では、何かおかしな人々の集合体へと変わったと思う。
今回はさらにそうで、実際問題、今度のダボスは、世界的リーダーがいないダボスなどと書いている人が見受けられるように、アメリカ、中国、インド、ロシアといったところから大物が参加していない。また、興味深いことに、あの気持ち悪いクラウス・シュワブ、ジョージ・ソロスも欠席。
その上、折からのウクライナ問題がかぶってきて、ゼレンスキーが登場して、戦車を!とか言ってると、世界中の主流メディアが報じる。
ゼレンスキー大統領 ダボス会議で戦車の供与など支援求める
これ自体、ダボスって何?と思わせるのに十分なのだが、やってる側は気づかない。というより、多分、「上」から押し付けられる仕組みに抗えないのではないのか?と思わされる。それもまた、冷めた目で見る人にとっては滑稽な一幕となる。
で、経済フォーラムらしい建てつけの方は、ヨーロッパ中銀のラガルド、日銀黒田、フランスの誰か、IMFのエライ人らが公開の対話をしていた。多分これが大きいイベントなのだろうとは思う。
この対話のタイトルは、
Global Economic Outlook: Is this the End of an Era?
グローバル経済の見通し: これは1つの時代の終わりなのか?
だったりする。そこはわかっているじゃないか、と言いたいが、では、このメンツが語る将来の見通しを聞きたいと好奇心をかきたれる、あるいは、重要なので見ておかなければ、と思う人は今日どれぐらいるのだろうか?(ネガティブな意味で見る人はいそうだが) もとより、このメンツでは「グローバル」にならないのは明らか。
IMFの人が出てるけど、IMFや世界銀行の経済アウトルックすらだいぶバリューを失ったと思う。結構な期間、多くの人がこれらの機関が自国や特定の国をどう評価するのかを、神の審判のように思っていたものだが、最近は、国によってまちまちだろうと思う。
ロシアが、これらの機関から嫌われようとも、不当な評価をされようとも、強いものは強く、大きいものは大きく、持ってるものは持っていたという案件が示す影響力は小さくない。
■ アベノミクスの修正問題
そんな中、我が方日本はどうなっているのかといえば、日銀の新総裁がまだ決まらない中、
政府は日銀の黒田東彦総裁の後任人事案を2月に国会へ提示する調整に入った。日銀人事は安倍晋三元首相が進めた経済政策「アベノミクス」の継承と連動する。自民党最大派閥の安倍派は人選がその試金石とみて注視する。
という状態を迎え、記事にもあるように、安部派は、アベノミクスを止められちゃうんじゃないかと警戒しているらしい。
日銀人事、自民で思惑交錯 安倍派はアベノミクス修正警戒
これをどう読むかはいろいろあるだろうけど、安部派以外の派閥、あるいはアベノミクス擁護派以外の諸々の人々は、アベノミクス修正に前向きだ、とも読めると思う。
今後どうなるのかわからないけど、でも、先週書いた通り、永遠に国債を刷りまくれば良いのだ、膨張する中央銀行こそ正解なのだ、という主張を持った一派はかなり抑え込まれているのではないのか、と見える。
こういう状態を作った上で、さらに跋扈しようとするリフレ派は恐ろしい人たちだわ、ほんと、と私は思っているけど、さてどうなることか。
■ 円の戦争&ネオコン
私としては、この状況は満州グループ二度目の敗戦なのかしら、など思ったりしている。満州でも朝鮮銀行などの国策銀行を使ってマネーを刷って、要するに戦費は戦場で調達する、という政策を取った。当然刷りすぎ状態になったりするわけで、そこで投機勢力と戦っていたこともあった。
NHKスペシャル 圓(えん)の戦争
日本が日中戦争から太平洋戦争終結までの8年間にかけた戦費は、現在の貨幣価値に換算すると300兆円にもなる。この戦費は一体どのようにして、産み出されたのであろうか? 発見された極秘資料と関係者の証言から、日本が世界に類を見ない特殊な戦費調達システムを作り上げていた実態が分かってきた。
多くの人が指摘した通り、安倍グループには満州に縁のある人がいろいろと見え隠れする。といっても直接的に現在何がどう関係しているのかは定かではない。
が、ともあれこの21世紀の満州グループは関東軍が大陸でやったように金を刷り出していたっぽいな、と思って見ることが間違いでもない感じはする。彼らは、ひょっとして、前回パーになったのは戦争に負けたからで、そうでなければ成功する、国さえ作って発行権力があれば借金は永遠に可能なのだというある種の信念を持っていたりするのかしら、など想像してみたくもなる。
そういえば、「借金は永遠に可能だ」とは言わなかったけど、deficits don't matter (赤字は問題ではない)と言った人ならアメリカにいる。ディック・チェイニーが2003年に言った。
最近は、米の政策金利が上がってきたあたりでこれを思い出し、deficits do matter(赤字は問題だ)、と言い出す人がいたりする。
チェイニーの言葉は正確には、「赤字は問題ではないとレーガンが実証した」というもの。だがしかし、レーガン時代というのは赤字を激増させ、他方高金利で、さらにそのツケとしてプラザ合意があったわけだから、実証したというより、なんとか潜り抜けたというのが適切じゃないかと思うが、ネオコンはそんなことを丁寧に考える人たちではないので、勝手なことを言ってるんでしょうか。
ちなみに米国の赤字の推移はこんな感じ。80年代にレーガンが大変なことをしたと騒いでいた頃の赤字は今から見れば滅茶苦茶小さい。それはちょうど上の日本の様子でも、私が若い頃は今の10分の1ぐらいの額で大騒ぎをしていたのと同じだね。
赤は共和党の時代、青は民主党の時代。ほんの一時期赤字がなくなったのはクリントンの時で、クリントンが大事なのは経済だよ、馬鹿だね(It's the economy, stupid)という名高いセリフを言っていた成果というべきか。
上は1981年から、こちらは1989年から。
トランプの最終年は例のコロナ対策のびっくりするような資金投与。これこそ肝だっただろうという人がいるのもわかる通りの凄い伸び。
並べてみると、ここ20年かそこら、日本とアメリカは共に仲良く赤字など問題でないと主張してきたのだなとわかる。
で、この先どうなるんでしょうか。「赤字は問題ではない」説を含め、もっと包括的に考える人が出て来てもよさそうだけど、そういう人が枯渇していったのもこの時代の特徴だったわね、とも思う。
■ モノ
ウクライナの方は、ドンバス戦線は、ちょびちょびとロシアが解放の都市、集落を増やし、来るものみんな壊してやるの構えを崩さず地道に壊してる。
他方、西側メディアでは、イギリスの戦車、ドイツの戦車がウクライナに行くか行かないかにエライ注目が集まっている。
ドイツのレオパルド2は別に魔法の兵器ではないので、それが何十両か送られたところで戦局をひっくり返すような効果はない。単に、80年ぶりにドイツ人がロシアを殺しに来たという事実が欲しいアングロと、それはちょっと・・・のドイツがもちゃもちゃやっているだけだと思う。
そもそも、戦車といえば、ロシア軍は圧倒的多数の戦車を持っている。
最近twitterで拾ったところではこんな感じらしい。具体的な数がどこまで信頼できるかは定かではないが、ロシアがダントツで、陸上戦が必要となる可能性のある国が多数持っている代物だというのがよくわかる図だと思う。
ウクライナはもうそんなに残ってないんだろうと思うので、この作成時期がいつなのかを知りたいが不明。そしてそこに書かれている文章の中で、ロシアはこんなに持っているが既に1600両も失っているのです、と書いてあるがどこでそんなに失ったのだろう?という気はする。60年代、70年代の古い戦車を各地でロード・ブロックに使ってたりしたので、廃棄処分になった総計だったら案外そのぐらい行くかもしれない? わからない。
特別軍事作戦開始以来にロシア軍がウクライナで破壊したと公式に発表している数値は、2023年1月20日時点で、
航空機 374
ヘリコプター 202
無人航空機 2908
対空ミサイルシステム 401
戦車・その他装甲戦闘車両 7583
マルチロンチャーロケットシステム車両 985
野砲・迫撃砲 3878
特殊軍用車両 8121
対比のために、昨年11月25日の分も貼っておく。
ということなので、戦車、装甲車7000両が破壊されたと主張されている戦場で、20両とか100両の戦車が来たところで、戦局がひっくり返る可能性は極めて小さいと言う他ないでしょう。
その上で、仮にその100両がロシアの100両を壊したところで、上で見た通りにまだまだ一杯持ってる人たちが、陸路で、よーし補給だと出来てしまう。
対して、NATOの方はもともと持っている数が多くない上に、ドイツあたりに貯めているものを陸送するのはそう難しくないだろうけど、アメの分を足すなら、大西洋岸の港にアメリカから持ってきてそこから陸路、みたいな膨大な輸送の作業が必要になる。
そしてえっちらおっちら持っていくと、よーし来たなと破壊される。
破壊するツールであるミサイルの弾はもう枯渇する~と昨年3月から幾度となく西側のメディアは書きたてている(というより、イギリス軍やアメリカ軍の人が言うから記事になる)が、
ロシア連邦の防衛産業の工場は、24時間3~4シフトで操業中。ロシアは米国の3倍の防空システム用のミサイルを生産しており、それはつまり、他の国々の数をすべてあわせたのと同じぐらいだ、という主張がなされている模様。プーチンも言ってた気がするけど、そもそもこれはロシア国内のテレビなどでガンガン言っていることみたいではある。
Defense plants of the Russian Federation are now working around the clock in 3-4 shifts. Russia manufactures three times as many air defense missiles as the United States, or about as many as all other countries combined https://t.co/ZtdjydMi8T pic.twitter.com/fF7eOY2qHT
— Victor vicktop55 (@vicktop555) January 21, 2023
金持ち国家群はこれにどう対応するのでしょうか。こっちの方も、もう少し真面目な人たちが出て来て何か言うべきなんじゃないかと思うが、西側各国の政府からはそういう気配はない。
■ オマケ
物量といえば、the Duranというサイトに出てくるアレクサンダー・メルクリスという、60代半ば(少なくとも)の色濃くヨーロッパ人のおじさんが、昨年から何度も言っているが、最近アメリカ人を前にしみじみと言っていたことを思い出す。
自分の世代はアメリカといえば大量の物量を持ってきて、わーっと片付けるというイメージを持っている。だからウクライナの状況も知らず知らずにそれを前提に見ていた。だけど、違うんだね、そういうアメリカじゃなかった。これは私が2022年に最も驚いたことの1つ。
と言ってた。
「そしてえっちらおっちら持っていくと、よーし来たなと破壊される。」笑ってしまいました!
正直に敗戦を認められない日本はアベノミクスの失敗も、まだタブー暑いである。
西側陣営は、大和の沖縄特攻を戦車連隊にやらせるつもりだ。
いやしかし、ふつうに考えると異常ですよねこの数。
日本列島の3分の2程度、しかも日本同様に山がち地形なんで一般的に効果的運用がしにくいはずのちっぽけな半島に、これほどの密度で存在する戦車って(南ですら日本の倍以上で、有事にはさらに米軍からも投入される)。
北の場合、一般的には年代物を動員して数を揃えたコケおどしとかそれを動かすための燃料すらないみたいな、嘲笑的な言説で流されて終わりでしょう。
ですがむしろ着目すべきは「それほど軍備のリソースが逼迫していてもこの数を揃えるのはなぜか」だと思うんです。南にもおそらく、北のそれを裏返したような意図がある。
私のような一般人がかろうじて想像できるのは、朝鮮半島の向こうに「陸続きの中国・ロシアがある」という条件に基づいた、何らかの判断の結果なのだろうということくらいでしょうか。
日本・台湾・キューバみたいな孤立した島国は、どこも1000輌前後でどっこいどっこいですからねえ。
確かに数は多いとは思いましたが、それほど意外にも思わなかったです。
自分以外全部敵という体制だからそりゃそうなるかな、とも思います。
中身は最初の方はソ連製、次に中国製、そこから自主開発した天馬のラインはなかなか有名だし、水陸両用もある。
ロシアは、北朝鮮がウクライナあたりから二束三文でソ連の技術をゲットしてたことに腹を立ててる側面もあったと思うし、これは多分小さいことでは全然ないのだろうとも思います。
でも、この間RTにその話しの記事が出たので、ある程度もうそれはそれ、になったのかなと逆に思いました。
で、それらを捨てないで持ってたらそのぐらいになるのかも、とかも思います。
最近ウクライナ戦争や独ソ戦に言及してる日本国内&海外ネットユーザーの発言に、「ソ連はアメリカのレンドリースによってナチに勝利した」みたいなものが散見されます。
おかげでウ戦争に絞れば、「なので、ナチロシアに対抗して西側がウに武器供与するのは道義的義務」みたいな理屈が大変に多い。
独ソ戦において、軍正面装備の後方に広がる膨大なロジスティクスを整えるにあたりレンドリースが絶大な存在感を発揮したのを否定するつもりはサラサラありません。
しかしそれらの発言から、ソ連=ロシアの科学力・工業力と社会制度をどうしようもなく軽視したいらしい連中がかなりの数いることはわかります。
卑近な例で恐縮ですが、彼らは「T34ショック」とか「独ソ戦車開発競争」みたいな話を知らないんでしょうか。
ドイツ軍贔屓がなにかと引用したがる伝説的な「猛獣シリーズ」戦車群開発に、恐るべき性能向上を示す赤軍戦車との実戦経験がどれだけ影響を与えているかは、こういう話題にかかわる者には「基本のキ」だと思うのですが。
「ソ連=ロシアの科学力・工業力と社会制度をどうしようもなく軽視したい」というのは、一部の日本人において、絶大なる、私だって日本人ですがまるで見当もつかないほど途方もなく重要なテーマっぽいんですよ。
そのうち考えようと思います。私はこれは、ある種の精神病だなと思ってます。