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カザフスタン暴動 ←「宴の始末」問題

2022-01-09 13:38:43 | WW1&2
カザフスタンの問題は、多くの人が思ってるよりずっと大きい問題だと書いたわけですが、それは別にロシア帝国/ソ連/ロシアがどうしたという話だけではない(これだけでも大きいけど)。

これは、ジハード主義者、イスラム過激派、アルカイダ、アフガニスタン占領、汎トルコ、汎イスラム、IS、あるいは、ムスリム同胞団、といった語が束ねるところの、だいたい100年ぐらいやっている蛮族利用の問題であろう、と思うわけです。

シリア問題について、「宴の始末」というタイトルを付けて通しで書いていて、最後に、結局のところ、アメリカはアルカイダと歩む21世紀なのか、と腹を立ててましたが、今回のカザフスタンの問題はそこに続いてると思う。

で、去年、アフガニスタンから米軍が撤退したわけですが、それを面白く思ってない人々がいるし、まだまだだ~、といった感じの人たちもいる。

■ イスラム過激派をかくまい続けていた

そんな中、ロシアTASSに出ていた、今般のカザフスタンでの出来事についてのこの専門家の意見がとても重要だなと思った。かつ、また、ロシア政府およびCSTO諸国、ならびに上海協力機構の面々はそこを注視しているであろう、と私は思ってる。

Эксперт: произошедшее в Казахстане стало возможно из-за системных проблем в КНБ


機械翻訳で日本語化しようと思ったら、twitterでタイムリーに翻訳してくださっている方がいたのでお借りします。

 


つまり、カザフスタンの地で過激派を養成していて、それを安全保障委員会が放置していたのだろうという話。地続きでアフガニスタンに到達できるのがスタン諸国。

クーデターの目的は、ナザルバエフ派の多くはひょっとしたら単なる自分の利権確保のつもりだったかもしれないが、それがもたらすものには、カザフスタンを無政府状態にして、しばらく騒動して地続きのところから加勢が来る、みたいな連鎖も含まれていた可能性が高い、ってことじゃないでしょうか。

しかしそうはならず、ロシアの平和維持軍がCSTOの連絡から13時間目には既に空挺がカザフスタンに到着し、その後すみやかに後続が到着し24時間たたないうちに政府機関と空港は完全にCSTOが守る体制になった。

CSTO全体で3500人かそこらのようなので、これでロシアがカザフスタンを占拠した~と騒ぐ人は頭がおかしい。というか妄想の世界に住んでるロシア分裂症 *1) だと思うので病院に行った方がいい。


■ トルコ問題

で、イスラム過激派問題は、トルコの動向と無縁ではない。というか、トルコが国ごと推進しているといっていい。なぜなら、トルコ系の地帯を作るのだ~とかいう、汎トルコ主義をおしげもなく語るのがエルドアン率いるトルコ国だから。まぁISの保護者なわけですよ。

こういう言明が各地のトルコ系の過激派およびその予備軍にとっての、まだまだやれるぞ、の合図なんだろうなぁと思う。

予想通り今般も、トルコではモスクワの侵略だ~といった感じの声があがって騒ぎになっているらしい。しかし、欧州は控えめ。そりゃそうでしょう、もういくらなんでもイスラム過激派問題に悩まされたくないのがいわゆる民意で、いくらEU外交部が基地外でもこれ以上過激派支持は困難。

また、カザフスタンでは資源が民営化されていて、外国企業のシェブロンなどが操業している。で、カザフ側のパートナー企業の社員も暴動に参加したとかしないとかで騒ぎに巻き込まれているみたいだ。企業側としては、落ち着いたカザフスタンの方がいいわけで、ここらへんで、イデオロギー色の濃い(ことで利益を得る)欧米トルコの政治家と見解が分かれる。


だがしかし、もちろん、トルコ単体でそんな資金があるわけもなく、また、トルコ国に忠誠を誓って得られるものって何????なので、妄想で動く人以外がついてくる意味は別のところにあるでしょう。

期間が長いので、様々なプレーヤーが様々な事象で関与してきただろうけど、私は根本的にはイギリスだと思ってる。イギリス最大の売り物は何か。それは王室システムを利用した不正蓄財の保護でしょう。だから、ソ連を売った高位の売国奴の行き先がイギリスなの。

また、大学を作ったり、なんだかんだの基金、NGOを作ってパキスタンからキルギスタンまで漫勉なく影響力を持つ人脈と組んで、なにか前向きなことをやっている恰好にしてきたのも、貴族システムを含むイギリスの保護とそのプロパガンダネットワークあったればこそでしょう。

Aga Khan Foundationなどはその1つだと思う。そこはかとなく理念が社会主義的で、みんなを助けているんですよ、という恰好で、国境をまたごうとするのがこれらイスラムなんちゃらの1つの特徴。ムスリム同胞団の基本設計とまるで同じ。

多分、世界中のリベラルは、字面だけ読んで喜んで、何と仲間になっているのか知らずにここまで来たんだろうなって感じ。ソ連の一国社会主義(≒結局保守主義)より、何か自由で開かれてる!みたいな。jurisdiction(法域)のない法の有効な施行はあり得ないので、それはつまり無法主義となるか、見えないところからの遠隔操作主義にしかならないのだが。


■ 英情報機関→ナチ→CIA

で、この問題はまたナチとも関わってくる。去年、ようやく真面目に見ることができた(私はまったく知恵遅れだった)、エルサレムの熱烈反シオニストのフサイニー はこの、デス・カルト的イスラム過激派集団の問題の一端でしょう。どうしてこんな重要な要素が隠されていたのかということこそ、実に問題だった。

ネタニヤフ退陣か & アインザッツグルッペン


そして、こんなに頭を悩ませなくても、2016年にウィリアム・イングダールが出した、The Lost Hegemonという本の中にフサイニーの記述もあることに最近気づいた。

 

イングダールの説では、1920年代にエジプトで出来たムスリム同胞団はイギリス諜報の産物で、そのデス・カルト的色彩のあるこの人たちが1930年代、40年代にナチに接近し、戦後は、CIAはこのネットワークに気付きそこから付き合い、ついには70年代にカーター&ブレジンスキーがこれは対ソで使えるとなってアフガニスタンにムジャヒディーンが来た、と説明してる。だいたいあってるんじゃないか、と私も思う。

そして、このタイトルにあるように、The Lost Hegemon、覇者は負けたとイングダールは見る。どう負けたかというと、サブタイトルの、Whom the gods would destroyのごとく。

このフレーズは、「神々は滅ぼすものをまず狂わせる」、のうちの帰結の部分で、これは、詠み人知らずの警句というやつ。

そう言いたくもなる、確かに。

■ もう1つ前

イングダールへの敬意を損なうものではまったくないんだけど、だがしかし、私はもう1段前があるんじゃないかと思っていたりする。つまり、イギリスがグレード・ゲームとかいって勝手にユーラシアのプレーヤーみたいな顔をしたり、帝国でもないのに帝国だと言い張ったりするあたりで、対ロシア、対清朝中国でここらにいる奴らは使えるな、と思ったことを嚆矢とする、という感じじゃないのかしら。つまり1800年代後半が発端ではなかろうか。

そしてあっちこっちで政治的動機で使いまわしているうちに、こんな光景になりました、という感じ。まさに神々も見放す光景。

1942年、ドイツ東部トレッビンにあったユダヤ人の収容キャンプに佇むアル・フサイニーらの一行。


2016年、シリアのホムス。



人々の日常を壊した面々の1コマ。


サイクロン作戦が壊したアフガニスタンの日常

フリーダム・ファイターから描けないNHK


■ オマケ

*1) ロシア分裂症とは、ロシア恐怖症の進化した過程で、ロシアは弱い、弱小だ、何もできない、たいしたことはなどないのだ、と侮る一方で、ロシアが攻めてくるともうどうにもならない、というロシアの強さ、大きさに対する恐怖を示す分裂症状。バルト3国などで広く症例が見られ、アメリカ、イギリスなどで少数ながらも劇症化した症例が見られる。2020年あたりにロシア・ウォッチャーが発見。



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1 コメント

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裏目に出たカザフ泥棒宿外交! (ローレライ)
2022-01-09 20:30:44
悪い奴等を友達にする泥棒宿外交を進めたナザルバエフの泥棒宿外交は居直り強盗化して裏目に出た!スターリンが保守の一国主義にならざる得なかった理由がここにある。
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