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GHQ焚書図書開封 第03回 太平洋大海戦は当時としては無謀ではなかった

2014-09-24 13:13:05 | GHQ焚書図書開封

GHQ焚書図書開封シリーズ第3回。今回は「太平洋大海戦は当時としては無謀ではなかった」。

http://www.youtube.com/watch?v=dVNtqEQB6w8&list=PL8D13838ADC0F546A&index=5

今回のご本
三国同盟と日米戦
著者:松尾樹明
出版:昭和15年 霞が関書房

 

多くの人は昭和20年の敗戦をもってパラダイムが変わったと考えるが、発禁された本を読み解くうちにそこではなくて昭和16年に開戦したところから人々の意識が変わったように思う、と西尾先生。

今回のご本は昭和15年、まだ開戦に至る前の本で、西尾先生が読み上げてくださっているのは、日米が開戦したらどのような戦闘過程をたどるかを想定して書いている部分。非常に強気で、アメリカが日本に挑戦してきた以上痛い目にあうぜ、といっているような調子。その調子はともかく、この時点で想定された日米対決はやっぱりフィリピン。で、日本がフィリピンを取るので、そこでアメリカは戦勝処理の希望を失う、と。

太平洋戦略で重視されていたのは、アリューシャン列島、ハワイ、パナマ運河を結ぶ3角形。このへんをどう攻略するかの構想等はかなり現実的で、妄想的ではない。その他、欧州の戦争と連携していることの認識もしっかりしている。

しかし、これこれこうしてアメリカは艦隊を失った以上講和を申し込んできて、他日を期するだろう、といった具合に、著者の想定が完全に「限定戦争」。しかし、実際に起った第二次世界大戦は全体戦争、全面戦争。第一次世界大戦も第二次ほど徹底的ではないが全体戦争だった。日本は第一世界大戦の当事者ではなかったので、この変化を理解していなかったというのはどうも本当なのね。

昭和15年においてまだ限定戦争的な発想でものごとを考えていたというのは、今から考えるとかなり問題だったと言えるんじゃないかと思う。

今回のご本
極東危機の性格
著者:John Gunther / Rupert Emerson
編者:雨宮廣知 訳編
出版:昭和16年12月 高山書院

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外国人が当時どう見ていたか。

日本とアメリカががっぷり組んだら、アメリカとてそう簡単なものではない、ただ時期を逃すとアメリカの準備が整ってしまう云々という想定を書いたアメリカ人の論文(John Gunther)が紹介されている。だから、当時の日本がそんなに無謀なことをしようとしていたということじゃないんだ、という今回の標題に繋がる。

なるほど、とは思ったものの、でもそれもまた「限定戦争」的発想じゃないんでしょうか?と疑問に思ったりもした。つまり、要するにアメリカがイギリスから覇権を奪うことは既に第一世界大戦あたりである程度発生したわけだけど、その変革がどのようなものになるのか、どのような手段で行われるのか、それによってはアメリカと戦うことのリスクも違うのだ(全体戦争的になる、戦後悪人側になる、とか)、なんて想定は昭和16年頃までの知見では一般的でないってことなんだろうな、と読むこともできると思う。

一方、ソ連の人の書いたものは、より現実に近かったかもしれない。「イギリスが欧州でアメリカのために戦っているのと同じく、蒋介石もアジアでアメリカのために戦っているのである」というあたり、組み合わせとアメリカの意図を重視していたんだろうな、と。ただ、文言そのものは資本主義諸国の疲弊を引き出し共産主義が漁夫の利を得るんだ、的な発想で、共産主義者の惹句だ!、などと言いたくはなる。しかし、よく考えれば、アメリカが最終的な勝者となるためにじっとあっちこっちで網を張ってたというのは実際当たっていたわけで、このへん、日本人はどう考えてたんだろう・・・。


GHQ焚書図書開封
西尾 幹二
徳間書店

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