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自分の言葉で話してみてよ、日本 by ロシア外務省

2014-09-25 07:24:30 | アジア情勢複雑怪奇

日露間がトボケた感じになっていてなかなか興味深い。

政府 対ロシア追加制裁を閣議了解
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140924/k10014839661000.html

これを受けてロシア外務省は、失望した、と言っていて、それに続いて、

ロシア外務省、日本の外交路線には独自性が欠如
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_09_24/277718129/

こんなことをこうもはっきりと言われても・・・と大笑いしてしまった。

これを見て、そんなことはないと怒る日本人はほぼ誰もいないだろうと考えるとさらに、なんだかなぁと思いますです。でも、この間の成り行きを見ててもロシアは日本に妙な愛があるんだろうなとも思う。なんというか、おべんちゃらを言わないでストレートに言うのはその表れじゃなかろうか。そして、もっと自分の言葉でなんか言って!と思ってるんだと思う。

Yes-man is your enemy, but your friends will argue with you(イエスマンはあなたの敵、友達はあなたと言い争うもんだ)

ということわざがロシアにあるとロシア系アメリカ人がどこかで書いていた記憶があるけど、そういう感じなのかなとふと思った。誠実な関係になりたいと思ってるからこそ言ってるんだよ、目を覚ませ、大日本帝国(いやこれはどうかわからないけど(笑))、お達しのおうむ返しじゃダメなんだ、なんか言え、俺らはあんたらを買っている、絶対できるなんだ、知ってるんだ、と思うからこそ関わってくるんだろうな、と。

(ロシアじゃないけど、アメリカ人のポール・クレーグ・ロバーツも、あまりにも情けない欧州+日本の行動に、あの喧嘩っぱやい日本はどこに行ったんだ、と嘆いていたことがあった。私はこういうのを好意的に受け止める性質。言葉は文脈を外してはわからない、意味は関係線上にしかない、と考える方。)

それはそうと、「独自性の欠如」というのはちょっとへんな翻訳で、実際にはもっと直接的。

ロシア外務省は日本政府の制裁に失望し、日本政府の対応を、独自の外交方針を進めることができない、非友好的な動きであると考える。

ということらしいです。

MOSCOW, September 24. /ITAR-TASS/. The Russian Foreign Ministry says Moscow disappointed with new Tokyo sanctions, and it regards this unfriendly move as inability to pursue independent foreign policy.

日本政府はこれを受けて、失礼だ、とか言ったら面白いと思う。対話の中で意図を理解しあうって独立した存在としての大事なスキルだし。ただ、じゃあ制裁の発案は独自なのかと言われると・・・。そもそも日本国政府はなんだってこんな、もうウクライナものは一幕終わりました、って時にわざわざ制裁をかけているのかはかなり謎だ。

■「おべんちゃらこそ友情の証」の世界

日本とロシアの言い争い(になってない)の対局にあるのが、アメリカとウクライナかもなぁとちょっと思う。

というのは、先週のウクライナ大統領ポロシェンコ氏による米国議会でのスピーチと米国の議員さんたちの反応と実際の行動の乖離ぶりが、冷ややかすぎて笑いも凍るようなものだったから。

まずもってポロシェンコ氏のスピーチそのものが、茶番中の茶番と太鼓判を押したいほど凄かった。youtubeにあがっていたけど私は途中で視聴を断念した。

ポロシェンコ大統領、米議会で演説「これは欧米の戦争だ!」 武器供与を要請
2014.9.19 01:09 [欧州]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140919/erp14091901090002-n1.htm

「これはウクライナの戦争ではない。欧州の、そして米国の戦争だ。自由な世界を勝ち取るための戦いだ」とか、ウクライナ情勢を看過すれば国際秩序が脅かされる、のみならず、確か、文明と野蛮との戦いだってのもあった。なにか、こう、病気じゃないのかと思うほど凄かった。

誰が書いたのこれって程たわけた芝居がかりようだったんだけど、アメリカ人たちはこれはアメリカ人のスピーチライターが書いたに違いないとあちこちで書いてる。私もそう思うな。流れとキーワードのチョイス、そして、泣き所みたいな個人エピソードを入れるとか、そういう仕様がまさしくアメリカ的だった。

で、 アメリカ人にとってより深刻なのは、その大馬鹿スピーチに対し米国議会の議員さんたちが何度も何度もスタンディングオベーションで応え、感激して支持を表明していたことでしょう。 その後も、様々な議員がこれでもかと、重要だわ、素晴らしい、私たちにとってのどうしたこうしたと最大限の賛辞を送っていてそれが記事になって世界中に配信された。

ところが、実際にアメリカが提示したのは、ごく小さな援助金で使途は非殺傷兵器限定、またNATO加盟がならないのならアメリカの同盟国に、とかいう話も尻切れトンボ。

これって、そういう援助の仕方をするなら、ウクライナをたしなめればいいわけだよね? もし誠実であろうとするなら。ところが、正反対の大演説をぶたせる。この不誠実ぶりが私には恐ろしい。「巧言令色、鮮なし仁」の最果てってところだろうか。

妙に口が上手くて、助けるわ、私に電話して、ええ、私はあなたの支持者よとかものすごく親切なことをこれでもかと言うんだけど、いざ助けてと電話したら、忙しくて申し訳ないとこれまた上手な言葉で断られるというシーンが、まぁそのアメリカ生活で時折話題になったりするんだけど、その戯画化という感じもする。

しかし、アメリカ政府まわりは、なんでここまで「言」に拘り、行動が乖離していることをなんとも思わなくなっているのだろう。

(他方、ウクライナ政府側もこれは戦争だとか言ってるくせに東部に自治を認めるとしたり、EUとの連合協定を結ぶもののFTA部分は来年末まで発効しない等、これを4月にやってりゃ人は死なずに済んだということを今さらすましてやっている。参照

なぜといって、私は前にも書いた通り、要するに支配層の傭兵国家から抜け出せないどころか、国会議員が満場一致でそれでいいと思ってるらしい国だから、ってところなんでしょうね。しかし、本当にロシアと核ミサイル打ち合うなんてことまで覚悟できるわけもない。で、こういう確信犯の詐欺師みたいな対応になる。

2か月ほど前、アメリカがここまでロシア(ソ連でも)に拘らなかったら、ここまで恥をさらすことはなかっただろうにと書いたけど、いやほんとに、マジでそう思うわけです。

20世紀が壊れていく。それは多分ロシア政府がロシア人を信じたから。

■ アメリカ政府に付き合いきれなくなってるアメリカ人

もちろん、アメリカ人がみんなそんなに薄情で不誠実なわけもない。このままのアメリカでいいわけがないと思うからこそ自国政府の批判をする人もたくさんいるのがアメリカ。今回も個人ブロガーさんたちが非常な頑張りを見せていると思う。驚くのは、ロシア系のアメリカ人、イギリス人ってのは結構多く、かつ、やたらめったら弁というより論の立つ人が多い。持久性もある。また、特にロシア系でなくとも、断固自国政府のやっていることはおかしいとして熱心にブログ書いたりtwitterしたりしている人がいっぱいいる。

直近の主原因はネオナチを使ったクーデーターだ、残余のことはその次だという線が次第に強くなってきたように思う(オバマ政権は、この因果関係をクレムリンのプロパガンダ扱いして、クリミアをある日突然プーチンが襲った、というところから物語を作成してる)。

主流メディアは相変わらず、彼らの物語に拘ってどこの並行世界だよ~んというようなことを書いているものの、だんだんとその周縁に変化がみられる。

今日見た The National Interestにもそんな記事があった。The National Interestは基本的には保守系シンクタンク系の人たちの発表会みたいな感じなのでポジショントークが非常に多い。主流直属の多少軽い系の雑誌という位置づけだと思う。

The False Promise of Petro Poroshenko(ポロシェンコの偽りの約束)
James W. Carden
http://nationalinterest.org/feature/the-false-promise-petro-poroshenko-11339

ポロシェンコ氏は議会のスピーチでウクライナを民主だの、文明と野蛮だのといってロシアとの差別化を図ってるけど、キエフ政権の側の非道ぶりはあちこちで報告されている。

政権内で最も過激なのは極右勢力だというのも欧州を中心としたメディアでも報道されている。隠しようもなく民主的だとか文明的だのとは言えない要素がたくさんあるのがウクライナじゃないのか、そもそもポロシェンコ氏は云々という感じ。

今更何を、だけど、これが主流に近いメディアで一部とはいえ語られたのは実に新しい。

本当の主流のワシントンポスト、ニューヨークタイムス、エコノミスト等々ではまだ夢の物語が続いてるけど、まぁ、コアの捏造グループ以外はもう付き合う「利益」とバランスしなくなったって感じじゃないでしょうか。嘘・捏造を続けてキャリアアップできる人は限られている、みたいな。

オバマ政権は都合よくISIS叩きに転じてみたものの、これもなんだかしまらない。そのうち、サウジの役割について911以来はっきりさせてないのは問題だ、みたいな記事がThe American Conservativeに出ていたりする。これってけっこうドキドキ。

Obama Bombs Blind
Why Americans are still in the dark over the 9/11 Commission's view of the Saudis.
By Scott McConnell • September 24, 2014
http://www.theamericanconservative.com/articles/obama-bombs-blind/


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