2,002年の多分四月に生まれたウニヴェルソ達五匹の兄姉妹。
その中で一番小さくて、他の子猫達の半分も無かった上に風邪を引いて死にそうだったウニヴェルソ。
助けてくれる私を選んで、私の子に成った。
懐く気の全く無い残りの姉妹の内二匹が12月に成っても外の石炭小屋に棲み続けていた。
親戚が飼うと言うので保護したら、取りに来ないので、全部私が飼う事に成ってしまった。
ビッキーは何とか懐いて、16年経って、漸くちょっとの間、抱き上げる事が出来る様に成った。
ベラの人嫌いは本当に酷くて、未だに撫でた事さえない。
多分、私に撫でさせない事と、身体の衰えは直結している。
いつも私に撫でられているウニヴェルソは、軟口蓋に癌が出来ていると言われていたのが自然に治った。
この頃撫でさせるビッキーは、大便が緩くなった以外は体重も落ちないし、とても元気で、ベラと同い年とは思えない。
人嫌いで傍にも寄らない猫は、私の癒しのパワーに触れる事も無いから、どんどんと衰弱している。
訪問する獣医さんに診せても、この猫は人が嫌いだからどうしようもない!
と、為す術もないので、寿命を迎えるのを黙って見ているしかない。
お腹の毛と内股の毛は抜け落ちて、赤い爛れた皮膚が見得るし、お尻が痛いらしく、床に直接便をするので
毎日床掃除をしても、まるで無く成らず、「賽の河原」状態で、私がノイローゼに成りそうだ。
それでも病気なのだから、怒る気にも成れないし、ただただ黙って見ているしか無いのが苦痛なだけである。
懐いても無いのに、お腹が空くと一番うるさいのがベラで、昨日は私の傍に来て、じっと私の目をのぞき込んで
ひゃ~~!ひゃ~~!と小さい声で何かを必死に訴えている。
だから、「どうしたの?何して欲しいの?」と訊くと、自分の定位置のストーブ前までよろよろの後ろ脚の爪を
カチャカチャ言わせながら連れて行く。
寒がりだから、ストーブ前の特等席に猫用ドーナツ型ベッドを設置しているのに、衰弱が激しくて、
ドーナツの中に入り込むのが難しくなったらしい。
中に入り込めないと寒いらしく、それで「寝床」を何とかしてくれ! と言っているのが分かった。
それで、段ボール箱で「高さの無い」寝床を作ってやったら、寒いと中に潜り込み、寒くない時は段ボール箱の外側で眠っている。
さっきも必死で傍に寄って来たので、触らせない猫だけど、背中を一瞬だけ触ったら、もう、背骨がボコボコ出て、瘠せ枯れている。
母に拾って貰った野良猫クロちゃんは、ここまで痩せる前に、食べると口が痛くなったらしく、上手く食べられなくなった時に
「クロちゃん、食べないの?」と言って、好物の甘えびを与えたら、それも食べられずに口に含んだだけだったのだけど
そのあと、「外へ出たい」と言い出したので、外へ出してやり、少し経ってから戸を開けて迎えに出たら草むらから戻ってきて
石炭小屋の奥へ入り、わざと私の手の届かない位置に座って
「私はもう、家へ帰りません。」と私の目をじっと見つめて、目で語って又草むらへと消えて行った。
奇しくも、拾ってくれた母の誕生日、4月8日の夜の事だった。
そして、9日未明に、稲荷狐さんのカンテラに導かれて、天空へと、堂々と胸を張って、
肉体とは違う、立派な体に成って、自分の世界へと昇って行くのが、心眼を通して視えた。
クロは立派な野良ちゃんだった。
ベラは、人間は嫌いで怖いけど、クロとは違って、ここまで衰えても、必死で生きようとする。
一番食べたがるし、私も食べたいだけ与えている。
でも、おそらくは大腸の病気なのだと思うのだけど、食べても食べても実に成らずにどんどん痩せて行く。
後ろ足は本当にふらついて、段差が有ると、ベッドにも入れないと訴えて来て、平な寝床を作ってやったら安心して寝ている。
春まで持つかな?
何にもしてやれないけど、「して欲しいこと」は叶えてやろう。
懐かなくても、私が危害は加えない事は理解して、必死に訴えて来る様子は痛々しく、哀れを感ずる。
嫌いな人類の中でも、私を信頼してくれているのは分かる、懐けたら、もう少し、幸せに成れたのに。
段ボール箱はストーブの熱が溜まって暖かい。
暖かく感じると、外へ出る。ぼろぼろのベラ