あかざる
金澤 ひろあき
「あかざるが出た!」
私が小さかった頃住んでいた福岡の山の中の集落で、この話が広がった。
「子どもは山の中へ行くな。」
「大人も一人では山の中へ行くな。」
近所の大人達は真顔で伝言した。
「あかざる」は文字通りの猿だが、巨大なのだ。ちょうど二階建ての家ぐらいの背丈であるらしい。
若者達が立ち上がった。消防団、青年団の男達が、手に木刀や鎌などを持って、あかざる退治に向かった。
一行は山の入り口まで来た。そしてそこに立ち止まった。
「あかざる、出てこい。」
気勢をあげたが、進まない。日が落ちたので、そこで解散となった。
あかざるのうわさもそれから全く出てこなくなった。
夕焼けにまぼろしを見てもう終わり ひろあき
金澤 ひろあき
「あかざるが出た!」
私が小さかった頃住んでいた福岡の山の中の集落で、この話が広がった。
「子どもは山の中へ行くな。」
「大人も一人では山の中へ行くな。」
近所の大人達は真顔で伝言した。
「あかざる」は文字通りの猿だが、巨大なのだ。ちょうど二階建ての家ぐらいの背丈であるらしい。
若者達が立ち上がった。消防団、青年団の男達が、手に木刀や鎌などを持って、あかざる退治に向かった。
一行は山の入り口まで来た。そしてそこに立ち止まった。
「あかざる、出てこい。」
気勢をあげたが、進まない。日が落ちたので、そこで解散となった。
あかざるのうわさもそれから全く出てこなくなった。
夕焼けにまぼろしを見てもう終わり ひろあき