京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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「あまのがわ」NO、270読後感

2022-04-20 07:57:50 | 俳句
「あまのがわ」NO、270読後感
      金澤ひろあき
拝復 桜の季節です。京都は桜が多く、私は疎水ぞいの桜並木を楽しんでいます。
のどかです。同じ地球上でコロナが猛威を奮い、ウクライナで戦争が続いていることが信じられないぐらいに。
 先日も「戦せぬ国の桜を見においで」という句が口をついて出て来ました。病も争いもない平和が訪れ、芸術を楽しめる世界を実現したいですね。
 「あまのがわ」NO、270、ありがとうございます。いつもすみません。こんな世の中ですので、ほっとする句に目が行きます。
  アリガトウと小声で呟く ありがとうと目元で笑う 副枝保子
 こういう心の交流があるのです。さりげないけれど、言葉に現れてこない心の中の声のやりとりの深さ。それが人を救ったりするのです。
  見送られて見送る 冬の暖かさ     中島すみれ
 心の交流と「冬の暖かさ」の気づき。こんな暖かさが、ほっとします。こういう心に気づいたら、争いなどなくなるのでは。
  冬葱に話しかけつつ土を寄せ      ふじ本美代子
「がんばれよ」でしょうか、「ありがとう」でしょうか。共に生きているという感じがします。
  我もまた変異したい          池田洋子
 本当にまた「別のもの」に変身して、活力がほしくなる時があります。今の時代が、まさしくそうなのかもしれません。コロナ以後、「変異」は悪いニュアンスで使われていますが、それを逆転させている表現に注目しました。
  被災地の酒一升 息子が帰る正月    一丸孝
  もう10年 手の暖かさと君のイビキ  桑野真知子
 大切な存在が、ほのぼのとします。大切な存在があるから、生きていることが実感できるのだとも言えます。
  下萌えの大地踏みしめ仕事に行く    猪俣友子
 土とともに生きているという実感が伝わります。そして春の訪れの喜びも。
  サヨナラ 無骨な徳利に供える小菊   裏文子
 なんだか死を悼んでいるかのようです。お酒を愛する人だったのでしょうか。そういえば、湯布院映画祭を始めた方が亡くなったという記事を読みました。その方のことかな。
 大切な存在が浮かび上がってくるのです。
  どんぐりを両手に抱いてリスは合掌   岡田桂子
 満足そうなリスのポーズ。生きている喜びが映し出されていますね。生きる喜びが満たされる世界を切望します。