何となくバッハを聴きたいことがある。
-バッハには精神の塗り薬のような優しさがある- 阿部公房
ラジオでシンセサイザーのバッハを初めて聴いた。
最初にシンセサイザーを始めたウェンディ・カルロスに『スウィッチト・オン・バッハ』(1968年10月)という歴史的アルバムがあるらしい。
冨田勲はこれを聴いてシンセサイザーを始めたという。
バッハ ブランデルブルク協奏曲第5番
〝音楽は時間の芸術〟とよく言われる。
絵や文字や形として残らず、残っているのは楽譜だけ。
演奏は時間とともに流れ、次々に消えて行く。
シンセサイザーを聴いていると特にそのことが凝縮しているように感じる。
まさに〝一期一会〟なのだが、その中に変化しない、変わらない価値があるから何となくあの曲をと聴いてみたくなるのだろう。
バッハであれば〝精神の塗り薬〟というのはそうかなと思う。