10日の衆院予算委員会のネット中継を見ていた。討論が成り立っていない。
例えば法律家同士の立憲民主の山尾議員と森法務大臣。山尾議員は、昭和56年の内閣委員会で、「国家公務員法の定年延長の規定は検察官には適用されない。」との政府見解が議事録に残されているので、今回の黒川東京高検検事長の定年延長は違法ではないか。森大臣は議事録を読んだか。政府統一見解を示して欲しいと質した。
森大臣は「議事録は読んでいない。検察庁法は検察官の定年の年齢と時期を定めたもので、定年の延長は国家公務員法による。これが政府統一見解だ。」という強弁を繰り返し、法律家として十分吟味していなかったことが明らかになった。
もう一つ。立憲民主の山井議員と北村公文書担当大臣。山井議員は「桜を見る会」に関する国会提出資料に“白塗り”したものがあり、公文書管理法違反ではないかと質した。
北村大臣は「白塗りは新しい文書を作ったということで問題無い。国会説明をしていなかっただけで法律違反でない。」という驚くべき答弁を繰り返し、いよいよ支持者も居たたまれない感を深くしたのではないか。
いずれもどんな角度から再、再、再、再質問しても答えは同じ。時間切れをひたすら待つ作戦に徹している。呆れを通り超して虚しい。
山尾議員も山井議員も再三に亘り答弁準備の休憩を要求したが、棚橋予算委員長は続行。山井議員はさすがに自ら退室し、10分後に再会するという大荒れ質疑となった。
ネット中継は予算委員長と委員会理事とのやり取りが音声に入る。棚橋委員長の「噛み合っている。立派な答弁だ。見解の相違。勝手に退室した。」にも驚く。
こうした政府の危険な考え方や崩壊した議会運営はネット中継を見ることが出来る暇な人間以外は知る由も無い。ニュースは加工される。
官邸の意向で公平・公正・透明な国家運営が日々壊されている危機的状況を報道は伝えて欲しい。
「取り敢えず明日のことで一杯。株も上がっているからいいじゃないか。」という世に生かされているうちに取り返しのつかない損失が我々に還ってくる。