臨時国会の会期末が21日に迫る中、国会では政治資金規正法再改正や衆参政治倫理審査会開催など難題が山積し、日程は窮屈さを増していた。
自民にとっては補正予算案の12日中の衆院通過が至上命題だった。
このため、国民民主には〝103万円の壁〟の扱いで、「来年から178万円を目指して」という空証文で、立憲には「予備費の付け替えで能登復興対策を増額」で顔を立てさせ、「能登は賛成、補正は反対」というチグハグナな拠り所を与えて見事に乗り切った。
立憲・野田代表は「補正予算は水ぶくれ」と批判していたが、あっさりと通してしまったのはどうしたものか。
立憲の安住衆院予算委員長は補正予算本体の修正をもっとすべきであったが、初登板で混乱を避けたと見られても仕方ない。
これは長いことお互いに国会対策をやって来た自民の森山幹事長との水面下のやり取りで利害が一致したからであろう。
政治倫理審査会は公開、非公開で揉めているが変則で開催してもいいし、通常国会に先送りしてもいいので残るは政治資金規正法再改正だ。
これについては、自民、立憲の国対委員長が16日、国会内で会談し、自民は「政策活動費」を全面廃止する野党提出法案に賛成する意向を示し、一部を非公開にできる「公開方法工夫支出」を検討項目として付則に盛り込む修正は見送ることになった。つまり、成立する。
「方法を工夫する」という回りくどく、何のことやら分からない表現で附則に残しておいて、法律の施行段階で条文の中に息を吹き返らせようとするのだから、自民党はよほど〝裏金〟の温床が欲しかったのだろうが諦めたのはやはり少数与党の悲哀か。
かくして、17日に補正予算は成立し、臨時国会はすんなり21日に終わることになった。
〝奇跡の国会運営〟〝森山マジック〟と自民は浮かれるのだろうが、はたして政権交代に向けて野党はそれでよいのか。
綱渡りの政権運営を気脈の通じた与野党の元国対委員長二人が切り回しているようで気になり始めている。
年明けの通常国会で、立憲はもっと毅然と戦わなくてはダメだ。