新型肺炎は官邸記者クラブ主催の「総理記者会見」の内実も浮かび上がらせた。
安倍首相は2日の衆院予算委員会で、蓮舫議員の質問に対して、「幹事社からの質問通告を頂いている。」と答弁した。
「総理記者会見」が、官邸記者クラブとの事前打ち合わせによる〝出来レース〟であることが言われて久しい。
先立つ2月29日夕方の総理会見のTV中継は、キャスターがまともな論評をするある民法局の中継を見ていた。
NHKはヨイショの岩田明子記者が解説で登場することが予想されたので、何を言うか録音して比較してみた。
さる民法局のスタジオでは数名のコメンテーターがメモを取り、各自が内容を確かめ合うように慎重にコメントしていた。これが普通であろう。
共通していたのは、最も聞きたかった全国一斉休校要請の根拠について、何ら説明が無かったというものだった。
一斉休校は専門家会議の意見ではなく、「安倍首相の政治決断」であったことが国会でも明らかになったが、総理会見の時に既に注目されていた事柄だった。
一方、岩田記者は安倍総理の発言内容を〝立て板に水の如く〟復唱しつつも、このことは素通りしていた。
アナウンサーの合いの手も絶妙であり、「仲裁」と「仲介」の言い間違えをあたかも解説原稿を目で追っているが如く即座に指摘していたのは印象的だった。実際の映像を見ていないので状況は正確ではないかもしれないが。
岩田記者は安倍首相の外遊、トランプ大統領との会談、プーチン大統領との会談に必ずと言っていいほど登場する。
政治部記者の長い経験があるにせよ、会見終了と同時に、これだけ一言一句、事細かく話すことが出来るものなのだろうか。いつも不自然に思ってい る。
官邸と内閣記者クラブが幹事社質問とその答弁、自由質疑の進行シナリオで馴れ合っているが如く、官邸は予め岩田記者に総理発言の原稿を渡し、世論形成を依頼しているのではないかと勘ぐりたくなる。
もし、そうだとすると既に言われていることだが、公共放送の体を為していないし、ジャーナリズムの自殺行為だ。
政府は新型肺炎の感染拡大防止のための立法措置を考えている。さらなる報道規制が懸念される。