覇王の馬券密議

中央競馬の壮大な演出劇の真実・・・ターフ裏の怪人が饒舌に説き聴かせる回顧と予想

黒い日 黒い週

2006年03月20日 11時31分55秒 | Weblog
 失敗のお話をしよう。




 その男は、怪力無双で聞こえていた。対立する民族の迫害を受け続け、しかしその神与の力は荒々しい獣をも素手で裂き殺すほど。男は自分の属する少数民族の為、迫害者と戦い続ける。

 男に恋人ができた。恋人はこの男の比べもの無い力の秘密を知りたいと思い、閨の間にそれを訊き出すことに成功した。それは、男の長い髪の毛と髭に秘密があるのだという。女は、その秘密を密告し、それを知った日ごろ男に苦しめられていた対立民族の人々は、ひそかに男の寝入っているところで、その頭を剃ってしまうよう、女をそそのかした。

 男は、ある朝目覚めると自分の怪力が失せているのを知る。男は捕らえられ、両目を抉り出され、牢獄につながれ、粉挽きの重労働に従事させられ、その後、見世物として力も光も失った姿を人前に晒された。

 ある日、男は対立する民の神殿で、2本の柱に腕をつながれ、神殿では宴が催され、多くの人々が、男を眺めやりながら、酒食に耽っていた。男は自分の神に祈り、密かに神の霊が下って、男は自分の怪力を取り戻した。そして、男は自分のつながれた2本の柱を、無双の力で揺り動かして倒し、その神殿の建物そのものを倒壊させ、数多くの敵対する民を道連れに、その神殿の崩れた石の下敷きになり、死ぬ。





 このお話をどう思われるだろうか。またこの男の名を持つものの運命を。



 この男は、密告(内部告発)により、捕まり、牢につながれ、衆人の目に晒され、巨大な建物を倒壊に導く。かつては髪の長い男だった。それがついに仕事のための力、腕をそがれるに至る。



 そして、この男の日に、西では、衝撃あるものが倒壊とともに人々をおののかせる。東も西も、国を揺るがす高い建物の倒壊の恐れを訴え、記録と記憶に刻み付ける。そのような日として仕組まれていたのである。
 そして、この男の活躍は、男が戦おうとした相手の日に、まさにその相手の舞台の上で用意されていた。





 失敗とは、その1着馬を私は早々に切り捨てたからである。その根拠もはっきりしていた。常識的に切りなのである。しかしそれを超えて発射するからには、何らかの重い意味を帯びているからであり、それはあのアドマイヤの土日の連勝が静香ちゃんのゴールドメダルを映すのと同じである。お気づきのように、荒川静香の金メダルのフリー演技の衣装は、青と薄い青のあわせであり、これはアドマイヤの勝負服と一致していた。それで、キッス ムーンと同じ騎手、同じ調教師が、普通無い土日続けての重賞制覇でこのおめでたい出来事を競馬で映す。




 この物語の主人公の男を、皆様もご存知である。私はこの男の姿が消えたことを寿ぐレースが行われると思っていた。それを基に検討していた。が、事実はこの男の影、当事者をはじめ、世間に与えた影響を映す結果、レースが用意されていたのである。改めて、演出側の、深謀遠慮におののいた次第である。




 これが競馬の真実の姿である。向こうはあらかじめ考え抜いて、何がその年、その日ふさわしいものか、検討と熟考の末、選び抜いて、人々の前に供する。が、この目の前の演劇を、その意味を、多くの人々は取りこぼす。意味を咀嚼しないまま、次に向かうのである。そして次も・・・




 来週も、今週のドラマのあと、もう決まっている、ふさわしい主役、ふさわしいドラマが待ちもうけている。



 が、この物語の主人公の男のように、よく考え抜けば、予め、おりおりその主役は誰か見抜けるものと、私は信じている。いつもいつもではないにせよ。




 この黒い日を思う、今日地下鉄サリンの日。


deep_impact@csc.jp ドラクロア


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