季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

笑い事ではないのだが

2010年06月14日 | Weblog
ネットニュースを読んで思わず吹き出したことがある。これは傷害事件で、本来笑うどころではないのだが。

どこかのお年寄りの施設での事件である。些細なことが発端で78、9歳と75、6歳の男ふたりが喧嘩になった。

年上の男が「この若造が」と叫んで「若い」方を刺したというのである。

人類がいつになっても「最近の若いものは」と言いたがるのもむべなるかな。

マンモスを追っかけて暮らしていた頃にも「最近の若いものは」という嘆きはあったのだろうか。石に文字を刻んだ時代にはすでにそんな嘆きが掘られているときく。

「近頃の若いものはマンモスを怖がりやがって。俺たちの若い頃は怖いなんて奴は一人もいなかったぜ、武器がなけりゃ素手で立ち向かったもんだて。今のやつらときた日にゃあ、やれ石が尖っていねえだの、握りが細すぎるだの文句ばっかり言いやがって」なんて言っていたのかと思うとおかしい。

吉田兼好だったらこのできごとからどんな文章を書いただろう。徒然草には「今風」への批判がたくさんあるが、彼の目がどの時代にもある「今時の若いものは」と言いたがる爺様たちを見逃していたとは到底思えないから。