僕の予想を裏切って、日本代表は初戦を勝った。僕はすなおに喜んでいる。
ただし日本チームが課題を克服したのではないことは知っておくほうがよい。一点取って勝ったのだが、シュートは後にも先にもこの一本だけだ。今までの課題中最大だった攻撃の精度と集中力は相変わらず低かった。守備の課題はある程度克服したようだが、それも後半25分過ぎから安易なパスをカットされて劣勢に立つことが多かった。
勝負事は結果が出ればそれはそれでよい。その意味では第一戦は嬉しい結果だ。しかしメディアはこの試合自体はレベルが低く、しかも日本チームは次の試合への糸口を見つけていないままではないか、という現実から目を反らしているようだ。
紙面には策士岡田なんて文字が踊ったが、それは違う。キーパーにしろ、得点を挙げた本田選手にしろ、岡田監督が策を練って起用したのではない。采配が冴えたというのはあまりに美化している。
少し前にも世界を代表するプレーヤーのひとり、C・ロナウドにどこかの新聞社がインタビューを申し込み「日本チームの印象は?」なんて訊ねて恥ずかしかった。まるで相手にされず、早く負けたほうが観光できて良いかも、と茶化されていた。くやしいね。
ドナルド・キーンさんの「日本人の質問」という本を紹介したことがある。その中で「日本をどう思いますか?」といった類の質問が多いことが記されている。それを思い出す。「あなたのお国では○○○なことはありませんでしょうねぇ?」という尋ね方をする人が多いとあった。
質問者は日本が強くないことを承知しているのだろう。承知していないならあまりに浮世離れしているしね。承知の上でこんな質問をするのならば、その心理はずいぶん複雑だ。この辺りになるとサッカーに限ったことではあるまい。
そんなことに精を出す暇があるなら、きちんと自分の目を働かせて記事を書きたまえ、と言いたくなる。
言うまでもなく今回、奇跡は起こって欲しいのだ。しかし奇跡に頼るのではなくて実力によって勝つようになるためには本当の姿を知らなければならない。メディアが僕たちとともに浮かれてどうする。
各選手を紹介するのに、やれ昔不良だっただの、母親に苦労を掛けただの、愛妻が待つだの、ぺんぺん草が生えただの、背景の細かい描写ばかりあって肝腎のテーマは腑抜けになる。日本の近代文学は私小説という独特の形態をもった。そんなこととどこかで結びついているのではないか、そう勘ぐりたくなる。
あるいはもっと下世話に、浪花節だと言った方がより適切なのだろうか。
今の選手たちの「のりの良さ」は決して持続するものではない。せめてあと一試合調子に乗ってもらいたい。現実ははたしていかに?次の相手オランダは僕が見た限りではデンマークと立派な試合をした。見ごたえがあった。しかしドイツの Die Welt だったかな、そこでは退屈な試合だったと批判されていた。僕には高度に映る試合でも厳しく批判される。世界のチームはお調子者が何試合も勝ち続けることはできない、きびしい環境で育っているのである。日本があまりに無残に負けるのはオールドファンとしては忍びない。そうならぬことを祈りたい。
せめてパスに意思を持たせてもらいたい。緩急をつけてもらいたい。シュートを打てるところまで作ってもらいたい。
後出しじゃんけんにならぬよう、今から投稿しておく。
ただし日本チームが課題を克服したのではないことは知っておくほうがよい。一点取って勝ったのだが、シュートは後にも先にもこの一本だけだ。今までの課題中最大だった攻撃の精度と集中力は相変わらず低かった。守備の課題はある程度克服したようだが、それも後半25分過ぎから安易なパスをカットされて劣勢に立つことが多かった。
勝負事は結果が出ればそれはそれでよい。その意味では第一戦は嬉しい結果だ。しかしメディアはこの試合自体はレベルが低く、しかも日本チームは次の試合への糸口を見つけていないままではないか、という現実から目を反らしているようだ。
紙面には策士岡田なんて文字が踊ったが、それは違う。キーパーにしろ、得点を挙げた本田選手にしろ、岡田監督が策を練って起用したのではない。采配が冴えたというのはあまりに美化している。
少し前にも世界を代表するプレーヤーのひとり、C・ロナウドにどこかの新聞社がインタビューを申し込み「日本チームの印象は?」なんて訊ねて恥ずかしかった。まるで相手にされず、早く負けたほうが観光できて良いかも、と茶化されていた。くやしいね。
ドナルド・キーンさんの「日本人の質問」という本を紹介したことがある。その中で「日本をどう思いますか?」といった類の質問が多いことが記されている。それを思い出す。「あなたのお国では○○○なことはありませんでしょうねぇ?」という尋ね方をする人が多いとあった。
質問者は日本が強くないことを承知しているのだろう。承知していないならあまりに浮世離れしているしね。承知の上でこんな質問をするのならば、その心理はずいぶん複雑だ。この辺りになるとサッカーに限ったことではあるまい。
そんなことに精を出す暇があるなら、きちんと自分の目を働かせて記事を書きたまえ、と言いたくなる。
言うまでもなく今回、奇跡は起こって欲しいのだ。しかし奇跡に頼るのではなくて実力によって勝つようになるためには本当の姿を知らなければならない。メディアが僕たちとともに浮かれてどうする。
各選手を紹介するのに、やれ昔不良だっただの、母親に苦労を掛けただの、愛妻が待つだの、ぺんぺん草が生えただの、背景の細かい描写ばかりあって肝腎のテーマは腑抜けになる。日本の近代文学は私小説という独特の形態をもった。そんなこととどこかで結びついているのではないか、そう勘ぐりたくなる。
あるいはもっと下世話に、浪花節だと言った方がより適切なのだろうか。
今の選手たちの「のりの良さ」は決して持続するものではない。せめてあと一試合調子に乗ってもらいたい。現実ははたしていかに?次の相手オランダは僕が見た限りではデンマークと立派な試合をした。見ごたえがあった。しかしドイツの Die Welt だったかな、そこでは退屈な試合だったと批判されていた。僕には高度に映る試合でも厳しく批判される。世界のチームはお調子者が何試合も勝ち続けることはできない、きびしい環境で育っているのである。日本があまりに無残に負けるのはオールドファンとしては忍びない。そうならぬことを祈りたい。
せめてパスに意思を持たせてもらいたい。緩急をつけてもらいたい。シュートを打てるところまで作ってもらいたい。
後出しじゃんけんにならぬよう、今から投稿しておく。