季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

象牙の鍵盤

2019年01月09日 | 音楽
僕の所有する楽器は全て象牙の鍵盤である。

コンサートグランドまでもが樹脂製の鍵盤になって久しい。人々がそれにすっかり慣れてしまったらしいのはネットの書き込みからも見て取れる。

象牙の鍵盤だと滑ってしまって弾きづらいという感想が結構あるのだ。

なるほど象牙の鍵盤は適切な湿度に保たれたピアノの場合乾いた滑らかさを持つ。僕も昔は滑って嫌だなと思ったことは記憶している。

奏法から説明すると、通常言われるのは弾いたらそこから指の位置は動かないようにということではないだろうか。意識的にさよ、何となくにせよ、そのように弾かれた場合は、確かに滑る鍵盤は安定を欠く。

しかし手を鍵盤上で滑らせるのも手の運びをより自然にする方法だとするならば、象牙の鍵盤の乾いた滑らかさは実に心地よいものになる。

これはもちろん技術的な困難の万能な解決法ではない。だが多くの人がたったそれだけのことで困難を軽減できることでもある。ブラームスの練習曲でもひもといてみれば良い。

鍵盤の材質の話が技術の話になってしまったが。何気ない話題からも様々なことがらに入り込むことは出来ると改めて思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿